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写真は記憶喚起材、記憶遺産

ガジュマルに飲み込まれるアンコールワット付近の建物 (1970年) 

写真は記憶喚起材です。
写真をとったときのことが彷彿(ほうふつ)とし、そのときの感情なども思い出されます。

1970年1人で、カンボジアのアンコールに出かけました。

建物を飲みこんでいるこのガジュマルの写真を見ると思い出がよみがえります。
カンボジアで内戦が勃発しアンコールから首都プノンペンへの飛行機がなくなりました。
フランス風のホテルにただ1人残さ れ、毎日ウエイターが立ち並ぶ中で独り寂然 (せきぜん)と朝食を口に運んだでいたときのフランス料理のあじけなさがよみがえります。

暇にまかせてカンボジアの少年たちとアンコールの彫像の拓本をとりました。
拓本はまだ手元にあることも思い出されました。

1枚の写真で、思い出が次々に湧いてきます。
 クニョム タウ プサー(わたしは市場へ行きます。)
「クメール語はむずかしいね」といったら、こどもが「クマエ スルーオル リアン(クメール語は学びやすいです)」とニコニコしながら言い返してきました。

プノンペンとトンレサップ湖をつなぐ川は、雨期にはメコン川の水を湖に流しこみ、トンレサップ湖を5倍ほどに広げます。
トンレサップ川【画像】

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2011年3月11日の震災に会った人たちがまず探したのがアルバムでした。

残された人々は、いまある写真はクラウド(ウェブ上)に残しておく必要がありまう。

我が家も東京大空襲で全焼し、疎開先でもまた火事で全焼しました。
残されたアルバムだけがかけがえのない遺産でした。

(改稿:2010年12月、2012年3月)