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北陸新幹線で観光乱戦(NK2012/7/30)


北陸新幹線で観光乱戦 首都圏に的
<温泉> 芸妓ら220人が案内

2012/7/30付
日本経済新聞 朝刊
611文字
2015年春に北陸新幹線が金沢まで開業する。東京―金沢間は2時間半と現行の4時間弱から大幅に短縮。北陸と人口3500万人の首都圏が直結し、観光地同士の競争は新たな局面に入る。石川、富山両県は食文化やイベントで集客を狙う。長野や新潟は広域周遊ルートで対抗する。
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地元の「レディー・カガ」が見どころを案内する(石川県加賀市の山中温泉)
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地元の「レディー・カガ」が見どころを案内する(石川県加賀市の山中温泉)
「この『あやとりはし』は華道草月流家元の勅使河原宏氏が設計し1991年に完成しました」
石川県加賀市の山中温泉を貫く鶴仙渓沿いの遊歩道。20歳の地元芸妓(げいこ)、小乃葉さんが、この日は普段着でガイド役を務める。観光客から「高くて少し怖いけど曲線美が見事ですね」などと感想が漏れる。
山代、山中、片山津、粟津の4温泉からなる加賀温泉郷では小乃葉さんら地元の女性220人が「レディー・カガ」を結成。彼女たちが見どころを案内するツアーが7月から始まった。温泉ごとに周遊コースを設け、約1時間半かけて柴山潟を屋形船で遊覧したり、古総湯や社寺を回ったりする。
加賀温泉郷にとって新幹線開業は「関西の奥座敷」から脱皮する好機。互いに近接しながら連携する機会が少なかった4温泉が結束した。レディー・カガは旅館の若女将や接客担当だけでなく、飲食店や商店の従業員に幅広く呼びかけ、地域全体でもてなす体制を整えた。
彼女たちは会員番号と顔写真入りの名刺を持つ。5枚集めれば特製の名刺ホルダーがもらえる。観光客に旅館の外に出てもらい温泉街全体のにぎわいにつなげたいとの思いからだ。
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富山・新潟・長野が協力 金沢との競合意識

2012/7/30付
日本経済新聞 朝刊
496文字
北陸新幹線の開業で首都圏客の選択肢が広がる結果、観光地間の競合関係も組み替えが必至だ。隣接しながら交流が盛んとはいえなかった富山、新潟、長野の3県は県境を超えた広域観光圏づくりを狙う。誘客策や旅行商品の開発で手を組む。
「金沢の方が観光面で吸収力がある」。富山県の官民会議で新木富士雄・前北陸経済連合会会長が直言した。
新幹線が県内を横断する富山県は、終着駅となる金沢との競争も意識し広域的な誘客に力を入れる。富山県の石井隆一知事と長野県の阿部守一知事は5月末の懇談で、首都圏で観光・物産展を連携して展開する方針を確認した。両県をまたぐ立山連峰をバスやケーブルカーでつなぐ立山黒部アルペンルートなどをアピールする。
新潟県内では北陸新幹線が停車する糸魚川市の観光協会などが、長野県の飯山市とタッグを組んで旅行商品を開発する。日本海に面した糸魚川と山国の飯山がそれぞれの観光資源を持ち寄る。
県を超えた交流が新たな魅力を生み出す。首都圏と北陸の中間という立ち位置は素通りの恐れがある半面、両方向から誘客できる可能性を秘める。長野県の秋山優一観光振興課長は「商圏が2倍に膨らむ好機」と意気込む。