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ASEANはアジアの成長の第3エンジンに(NK2012/9/27)


時事解析アジア経済の持続力(4) 安定保つASEAN 人口増で消費堅調

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済が好調だ。域内の国内総生産(GDP)の4割を占めるインドネシアは2010年に6.1%、11年に6.5%の成長を達成、今年上半期も6.3%と昨年並みの成長を維持。減速する中国、インドに対し、安定性が目立つ。
 GDPでインドネシアに次ぐタイこそ、昨年の大洪水の影響を受け低迷しているが、フィリピンは6%台、マレーシア、ベトナムも4%台の成長を保つ。各国とも欧米市場向け輸出が打撃を受けているが、個人消費やインフラ建設が依然として活発だ。インドネシアの4~6月期の成長寄与度をみると、固定資本形成が2.9ポイント、個人消費が2.8ポイントで、マイナスに転じた純輸出を補う。
 好調な消費の背景は生産年齢人口(15歳~64歳)の増加。ASEANにはキリスト教カトリックのフィリピン、イスラム教のインドネシアなど宗教的な背景もあって人口増加率が高い国が多い。中国は15年には生産年齢人口が減少に転じるが、ASEANは40年すぎまで増える。「人口ボーナス(人口増による成長の加速)は中国からASEANに移る」(大泉啓一郎日本総研調査部上席主任研究員)
 ASEANでは製造業の集積も進む。タイの自動車産業は大洪水から順調に回復、生産台数で世界のトップ10をうかがう。インドネシアは内需向けに家電、自動車、素材産業が拡大。ベトナムは携帯電話の生産が本格化し、年産1億台と中国に次ぐ。「ASEANは中印に続くアジアの成長の第3のエンジンになりつつある」(大泉氏)
(編集委員 後藤康浩)
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