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軽めの運動が長寿の秘訣(NK2012/10/21)


今どき 健康学健やかな長寿へ軽めの運動

 世の中に確実といえることが一つある。「生き物には必ず死が訪れる」ということだ。もちろん種によって寿命は違う。日本人の場合は男性で約79年、女性で86年あまり。犬だと、どんなに長生きしても20年を超すことは珍しい。
イラスト・中村 久美
イラスト・中村 久美
 不老不死を追い求める生物は人間だけである。中国の秦の始皇帝が不老不死の秘薬を求めて海外にまで人を派遣したという話は有名だ。現代社会にも「アンチエイジング(抗加齢)」をうたった怪しげな健康法や治療法が数多く存在する。それだけ人は不老不死を願うのだろう。
 個人的な意見だが、「長寿」とは、ただ命を永らえることではないと思う。医療技術の発達によって、生物学的な死を引き延ばすことは可能になった。ただ「体にチューブを何本もつけてベッドに横たわっているのは嫌だ」という人も多いだろう。寿命があるのなら、できるだけ元気に活動する「健康長寿」がよい。
 寿命を終えるには、古くから「PPK」がよいとされる。ぴん(P)ぴん(P)ころり(K)の頭文字をとったもので、「死の直前まで健康でぴんぴんしており、そしてころりと亡くなる」のが理想という考え方だ。
 健康を保つ秘訣は何も難しくない。運動と栄養(食事)に気をつけることだ。つまり、毎日の生活習慣が大切なのである。近年は、健康ブームの影響か、運動が盛んになっている。働き盛りの男性は少ないものの、老若男女を問わずスポーツセンターやスポーツジムに通っている。特に小学生、中年以上の女性、定年後の男性が熱心だという。
 これまで運動とは疎遠だった人が急に激しい運動をするとどうなるだろうか。「年寄りの冷や水」といわれかねない状態になるのではないか。最近では激しい運動によって、体内に有害な活性酸素ができ、これが老化の原因の一つとなるという知識が一般に広まっている。しかしスポーツジムによっては、激しい運動を課しているところも依然として多いようだ。
 運動は長続きすることを旨とすべきだろう。ジョギングよりもウオーキングの方がよいといわれるように、少し軽めの運動が適している。「健康長寿」を願うのなら、適度な運動を心がけるべきだろう。
(江戸川大学特任教授 中村雅美)
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