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軽井沢は、「引き算で」魅力ある町に

【2015/10/29】日本経済新聞。引用編集

時流地流:「引き算」が際立たせる個性

◆現在の人口は2万人を少し超す程度ながら、この15年で21%も人口を増やしたのが長野県軽井沢町だ。
町の人口は何度か減ったが、1997年に長野(北陸)新幹線が開業してからは緩やかに増加を続ける。
JR軽井沢駅から新幹線に乗車する人や、しなの鉄道の利用者の数も右肩上がりだ。

◆「新幹線の駅ができればにぎやかになる」。
住民の素朴な期待とは裏腹に開通後、東京など大都市にヒトやカネを吸い取られる「ストロー現象」に見舞われる自治体は少なくない。
それなのに軽井沢はどうしてヒトをひきつけられるのか。
9月下旬、石川県の経営者らと町を視察したとき、そんな視点で町内を回った。

◆駅の北側、旧軽井沢周辺の別荘地を巡ると、カラ松林の中に広がる別荘地の1区画が広い、土地に比べ建物の大きさが一定の比率以下、塀がない――といった特徴に気づく。
別荘地の建ぺい率や建物の高さは町の「自然保護対策要綱」で厳しく定めてあるからだ。

◆木々の隙間から浅間山や青空が望める「軽井沢らしい風景」は自然に保たれたわけではなく、取り決めを住民が守り続けたからこそ実現できた。
藤巻進・軽井沢町長は「我々はこうして先人がつくった伝統を守っている」と力を込める。

◆町では条例などにより「できないこと」が多い。
新宅弘恵・軽井沢観光協会事務局次長は「温泉を掘るのは難しいし、飲食店で女性がお酌をすることもできません」と笑う。
温泉地のような遊びをしたいニーズもあるかもしれないが、それが可能になれば軽井沢らしさは失われる。
できないことの多さ=「引き算」の発想が、町民憲章がうたう「世界に誇る清らかな環境と風俗」を形作っている。

◆「上乗せ交付金」を得られる期限である10月末に向け、自治体は地方創生の総合戦略を策定するのに躍起だ。ただ多くの戦略は、施策を積み上げていった結果、他との違いがわかりにくいものになっている。
「これはしない、あれはできない」という引き算から出発した方が個性ある街づくりにつながる。

(原孝二)

【※桑原政則】
マチナカに、安全で環境にやさしい散歩道や歩道をつくるにも、
多くの引き算が必要でしょう。
住民の協力、行政の力によって、
「これはできない」「あれもできない」ことをたくさんつくることが必要でしょう。

私権の制限で、街は輝くようです。



パリの同時多発テロ以来、世界は≪ がまんの時代  ≫になってきたようです。




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