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トキの里で安全なコメ、特産に 佐渡島

13-1】(新潟日報社、文・中島陽平、写真・富所真太郎)引用編集
佐渡島の玄関口、両津港の土産物店に並ぶ認証米「朱鷺と暮らす郷」

 日本で唯一、国際保護鳥トキが放され、野生で繁殖している新潟県の佐渡島。
現在、自然界に約70羽が生息する。
トキをシンボルに豊かな自然や安心・安全のイメージも加えた認証米コシヒカリ「朱鷺(とき)と暮らす郷(さと)」は、島の特産に成長している。

 認証米の取り組みはコメのブランド化を目指す佐渡市が中心となり、トキの放鳥が始まった2008年にスタートした。
農薬・化学肥料をそれまでの5割以上減らすことや、冬も田に水を張り生物の生息環境を守ることなどを認証要件とした。

 農家にとっては手間がかかるが、生産者や作付面積は増えている。
佐渡市のまとめでは、08年に256戸、426ヘクタール。
12年は684戸、1367ヘクタールになった。
認証米の小売価格は5キロで3千円前後と、一般の新潟県産コシヒカリより高い。
それでも消費者の人気を集める。
JA佐渡によると、販売量は08年産米の約1100トンから年を追って増え、12年産米は約1650トンとなる見込みだ。
 
 新穂(にいぼ)地区の約80アールで認証米を作る土屋穂積(つちや・ほずみ)さん(68)は「うちの田んぼにはドジョウやカエル、ミズカマキリがいるよ。
農業を通じ、自然が豊かになっていることを感じる」と誇らしげだ。
農作業中にトキがドジョウなどをついばむ姿も見かけるようになった。

 認証米の取り組みが評価され、佐渡市は11年に石川県の能登半島とともに、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に国内で初めて登録された。

 過疎や高齢化など厳しい現実もあるが、佐渡市農林水産課の渡辺竜五(わたなべ・りゅうご)課長(48)は「認証米が消費者に受け入れてもらい、農家の励みになっている」と話す。

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 トキやコメに加え、日本最大級の規模を誇った金銀山に代表される歴史、能をはじめとする芸能・文化など佐渡の魅力は多彩。
食の面では寒ブリなど海の幸や多種多様な果物などもある。

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