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ジュンサイ日本一の町動く 秋田県三種町(みたねちょう)

【1-1】(秋田魁新報社、文と写真・斎藤将典)
 小舟に乗ってジュンサイを摘み取る女性たち。町内の初夏の風物詩だ。2012.

 鮮やかな緑色、つるっとした食感。
見た目が涼しげで、喉ごしも爽やかなジュンサイは、涼を感じさせる食材として、料亭や高級旅館などで重宝されている。
生産量で全国9割のシェアを誇るのが秋田県三種町(みたねちょう)だ。

 だが日本一の産地は近年、強い危機感を持つ。
昨年、同町の生産量は482トン。
ピークだった1991年の1250トンに比べ4割以下に落ち込んだ。
「このままでは町からジュンサイが消えてしまうかもしれない。
打つべき手は今打たなければならない」。
三浦正隆(みうら・まさたか)町長(59)は力を込める。
 現状を打破しようと昨年、町や町商工会、JAなど14機関が「じゅんさいの里活性化協議会」を設立。
5年後のジュンサイ販売額を、2009年度比で2・5倍の10億円に引き上げるプロジェクトを始動させた。

 町ぐるみの取り組みが生んだ成果の一つが、新たなご当地グルメ「三種じゅんさい丼」だ。
産地なのに気軽に味わえる料理がない矛盾を解消しようと、町内の飲食店7店が通年提供の新メニューとして共同開発した。

 刻んだ梅干しをまぜた酢飯の上に、しょうゆ漬けのジュンサイをたっぷりくるんだ薄焼き卵を載せる一品。
さっぱりとした味わいが特徴だ。
ご飯と一緒に食べるという、今までなかった食べ方が評判を呼んでいる。
 平均年齢70歳といわれる摘み手の後継者育成、安価な中国産に対抗する「三種ブランド」の確立など、打つべき対策は多い。
日本一の産地の挑戦が続く。

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 摘み取り体験も格別
 小舟に乗り、沼の中の若芽を手作業で摘み取る。
5~8月の収穫期に見られる光景は昭和初期から変わらない。
地元での呼び名は「食べるエメラルド」。
町内四つの沼で摘み取り体験ができ、自分で採ったジュンサイの味はまた格別だ。

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