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直虎観光 浜松市が中心市街地のてこ入れ策

直虎観光 浜松市が中心市街地のてこ入れ策
2017/1/26 nk

 8日に放送が始まったNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」。主人公の井伊直虎が生涯の大半を過ごしたドラマ主舞台の浜松市では観光振興への期待が高まっている。ドラマ館の前売り券の販売も好調で、直虎ゆかりの龍潭寺(りょうたんじ)も観光客が増えている。一方、こうした目玉施設はJR浜松駅周辺の中心市街地から離れており、官民で市街地を含めた観光客の回遊性を高める取り組みが始まった。

 井伊家菩提寺の龍潭寺は、ドラマ放送開始後の休日は1500~2000人の拝観者でにぎわっている。例年の2.5倍程度の入り込みで、武藤宗甫住職は「これでも参拝者が一番少ない時期。暖かくなればまだまだ増える」と期待を寄せる。

 市が龍潭寺近くに整備した目玉観光施設「大河ドラマ館」は15日の開業前の前売り券の予約や販売が25万枚を突破し、出足は順調だ。オークラアクトシティホテル浜松(浜松市)が2016年12月に発売した「直虎満喫宿泊プラン」は団体旅行を中心に予約や問い合わせが伸びており、宿泊業も特需に沸く。

 一方、直虎ブームをいかにJR浜松駅周辺の振興につなげるかが課題のひとつ。龍潭寺など直虎関連の史跡はかつて「井の国」と呼ばれた旧引佐町に集中。浜松駅からは20キロメートルほど離れているためだ。浜松商店界連盟の河合章会長も「回遊性を高める施策がなければ、中心市街地への人の流れは限定的になってしまう」と懸念する。

 遠州鉄道(浜松市)は浜松駅から龍潭寺などを結ぶバスや電車の1日乗車券と、龍潭寺や大河ドラマ館の入場券などを組み合わせた「いいね!直虎1Dayパス」(2300円)を15日に発売した。パスは浜松駅前の遠鉄百貨店で使えるクーポンもセットにしており、観光客に旧引佐町地域から同駅周辺に戻ってもらうことを狙った。大手旅行会社のツアー商品向けなどを中心に引き合いが増えているという。

 浜松市は浜松駅周辺の魅力を打ち出そうと、同駅近くに自転車64台を用意したレンタサイクルの実証実験「はままつペダル」を始めた。同駅近くには浜松城など徳川家康公ゆかりの史跡も多く、「中心市街地の魅力ある施設の回遊に使ってほしい」(鈴木康友浜松市長)とアピールしている。

 同市はレンタサイクルのツアーも企画。スマートフォンを使ったスタンプラリーなどを組み合わせて相乗効果を高める。

 日銀静岡支店の試算では、大河ドラマ放送による静岡県への経済効果は179億円。観光客の流れが広がれば試算以上の効果も見込める。

 静岡大学で観光産業を研究する狩野美知子准教授は「官民の施策で回遊性が高まれば滞在時間が伸び、さらに消費を促す効果がある」と指摘。「行政と観光産業だけではなく、市民が一体になって名所や特産品などを案内できる体制つくりがカギになる」と提案する。

 袋井市などでは市民が「ブロガー」として地域の魅力を発信する取り組みを始めている。直虎ブームの効果を広く波及させるためには、市民の力の活用も欠かせない。(伊神賢人)

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