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川越の観光客、初の700万人超。ユネスコ文化遺産追い風 

2017/2/21 nk

 埼玉県川越市を2016年に訪れた観光客が704万人と過去最高に達した。川越氷川祭の山車行事の国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産への登録が追い風になり、前年比6%増と5年連続で増加した。外国人も4割増えこれまでで最も多い17万人が訪れた。市は今後も外国人の受け入れ体制を整え県内有数の観光地としての存在感を高めたい考えだ。

 川越市は1982年から観光客数を調査しており、近年では都心から1時間弱の立地で蔵造りの街並みを楽しめる観光地として注目が高まっている。これに「山・鉾(ほこ)・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産の登録が弾みをつけた。登録が決まった昨年12月に市立博物館など関連施設の入場料を無料にしたところ来館者が増加。川越まつり会館の入館者数は11月の約2倍に増えた。

 鉄道の利便性向上も背景にある。東京メトロ副都心線を経由し東武東上線と横浜方面を結ぶ直通列車「Fライナー」が2016年3月に運行を開始したことも増加の一因とみられる。

 県内の15年の観光客数では川越市は越谷市、さいたま市、入間市に次ぐ4位だった。川越市は同じ人が複数地点を訪れた場合、重複を省くなど独自の手法で集計しているが、越谷市など3市は観光地点や商業施設などを訪れた延べ人数のため、川越市よりも多めの数字が出る傾向にある。16年も同様の結果となるとみられるが、川越市への訪問客が増えている傾向に変わりはない。

 川越を訪問する外国人はアジアからが目立つ。市内の観光案内所を訪れた外国人の国・地域別のランキングは、トップが台湾で、中国、タイが続く。都内に宿泊する観光客らを呼び込んでいる。

 市内の霞ケ関カンツリー倶楽部が20年東京五輪のゴルフ会場になるのをにらみ、市は外国人の受け入れ環境整備を加速する。

 これまで市の玄関口でもある川越駅と本川越駅周辺などで公衆無線LANの導入を進めてきたが、来年度はさらにエリアを拡大する考えだ。西武新宿線本川越駅の観光案内所では1月から手荷物の無料預かりサービスを実施。利便性を高め市内周遊を促す。

 宿泊客の少なさと滞在時間の短さが好立地ゆえの課題だ。市が15年に実施したアンケート調査では97%が日帰り旅行で、半数程度が3時間~半日の滞在だった。

 市は滞在時間延長に向け夕方以降の誘客を強化する。昨年11月~今年1月、初めて中心部に近い大正浪漫夢通りのイルミネーションを実施した。市観光課は「周辺の宿泊施設も少なく宿泊客をすぐに増やすのは難しい。夜の川越を楽しんでもらえれば」と話す。

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