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埼玉・比企ため池農法、日本農業遺産登録目指す 3市5町

日本農業遺産:比企ため池農法、登録目指す 3市5町 

毎日新聞2017年7月8日  を抜粋編集

 埼玉県中央部の比企丘陵地域で営まれる「ため池農法」を維持・継承しようと、滑川町を中心とした3市5町が7日、「比企丘陵農業遺産推進協議会」を設立した。今後、日本農業遺産や世界農業遺産の登録を目指し、官民一体で取り組む。

 同地域では、なだらかな丘陵に囲まれた谷間(谷津(やつ))の最奥部に堤を築いて地下水や雨水をため、谷底に設けた水田(谷津田(やつだ))に利用する「ため池農法」が受け継がれてきた。同地域は地形的な特質から大規模河川から水を引くことが難しく、地下水も乏しいという。

 協議会を構成する3市5町(東松山、熊谷、深谷の各市と滑川、嵐山、小川、吉見、寄居各町)には大小合わせて353カ所、中でも滑川町には200カ所のため池があり、全国有数の多さという。滑川町羽尾のため池「五輪沼」では、ため池ができた後に造られたとみられる7世紀ごろの窯跡が見つかっており、古墳時代にはため池農法が定着していたとみられている。

 滑川町では2015年から、ため池農法でコメを生産する農業者10人が集まり、「谷津田米」と名付けてブランド化。農薬や肥料の使用について自主基準を設けて特別栽培米の認定を受けている。

 ため池は農業用水の利用だけでなく、洪水などを防ぐ防災や、周辺の森林を含めた生態系を育む役割もある。ため池の管理を通じて地域のコミュニティーが形成され、伝統的な農業が受け継がれてきた。協議会会長の吉田昇・滑川町長は「ため池は先人たちの米作りの知恵。農業遺産への登録で将来へ引き継ぎ、地域活性化に役立てたい」と話した。【三股智子】

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