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経営大学院 留学生に活路

経営大学院 留学生に活路  日本人伸び悩み海外勢と争奪   
早大、2年で金融修士。慶大、初の英語コース
2017/7/26付  日経  を抜粋編集


 国内の経営大学院(ビジネススクール)が海外留学生の獲得に力を入れている。早稲田大学ビジネススクール(WBS)は2016年に英語で金融を専門に学ぶプログラムを開始。慶応義塾大学ビジネススクール(KBS)は数年内に同校初の英語プログラムを開設し留学生受け入れを始める。今後、日本人学生の増加が見込みにくいことから留学生に活路を求める。

 「ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達とエンジェル投資家からの調達では、どのような違いがあるだろう。考えを聞かせて」

 7月中旬、東京都新宿区のWBSで「ベンチャーキャピタルファイナンシング」の授業が開かれた。樋原伸彦准教授が質問を投げ掛けながら進める。言語は英語で出席する30~40人のほぼ全てが留学生だ。出身地はアジア、欧米など幅広い。

 この日の題材はインターネット関連ビジネスを手掛ける起業家の資金調達だ。具体的な登場人物や経緯、事業の背景などをまとめたケースと呼ばれる教材を使い、自分がこの起業家だったらどう意思決定するか議論しながら進行する。

 WBSは16年9月に金融分野に特化して理論や実践を学ぶ「MSc in Finance」を始めた。2年間でファイナンス修士の学位を取得できる。欧米やアジアのビジネススクールで広まっているプログラムだ。

 WBSは既に英語でビジネス全般を学ぶ経営学修士(MBA)プログラムを2種類提供している。さらに英語のプログラムを充実させる背景について浅羽茂研究科長は「スクールの魅力を高めないと国際競争を勝ち抜けない」と語る。

 アジア圏中心に日本を進学先として検討する外国人は多いが、近年は「中国や東南アジアのスクールが規模を拡大している。欧米校も仏INSEADなどがシンガポールにキャンパスを広げている」(浅羽研究科長)と危機感を募らせている。

 インド出身のアジス・プラサードさん(27)はMSc in Financeの1期生だ。日本で金融関係の職に就くことを希望し来日。「WBSは科目が豊富。ゲストスピーカーで来る企業人と人脈が作りやすいのも大きな魅力だ」と語る。

 プログラム新設もあり、WBSの17年4月の在籍留学生は160人と前年から2割増えた。11月には海外経営大学院の幹部らも含めた助言委員会を新設。世界のトレンドを授業改善に生かす。

対外発信にも力
 国内のビジネススクールは2000年代に増加し主要校で100程度まで増えた。だが、キャリアアップに直結しないなどの理由で日本人の入学希望者は伸び悩んでいるとされる。留学生獲得は規模を拡大し、良質な学生を確保することで世界と肩を並べる水準を保つのに不可欠だ。

 これまで日本語のMBAだけを手掛けてきたKBSは英語で学ぶMBAプログラムの検討を始めた。従来、交換留学生向けに提供していた英語科目を増やし、企業の本社や工場を訪問してじかに話を聞くフィールドワークなどと組み合わせる。

 経営管理研究科の河野宏和委員長は「日本の経営に強い関心を持つトップ人材を集めたい」と語る。留学生には日本型経営を研究するセンターへの所属を促して、研究成果を対外発信してもらう予定だ。

 もう一つの意図は日本人学生が留学生と交流する機会を増やすことだ。国境を越えたビジネスが広がるなか、日本人のグローバル化対応へのニーズは大きい。留学生と交流して、異文化理解が進むことを期待している。

 平日昼に学ぶ日本語プログラムの定員は約100人で、新設の英語プログラムは20~30人を予定している。

 海外に出向いて学生勧誘に力を入れるのがグロービス経営大学院だ。17年は海外での学生募集イベントに出展する数を、従来のほぼ倍の25都市に増やす。現地では模擬講義を含む独自セミナーも併せて開催。同校への来日を呼びかける。

 留学生主体の1年制MBAは約30人が所属するが、数年内に50人規模に拡大するのが目標だ。来日が難しい学生には英語のオンラインMBAの受講も呼びかけ、多様な学びでひき付ける。

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