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「お宝」25年ぶり公開 川越・三芳野神社。東京新聞2018年4月18日

「お宝」25年ぶり公開 川越・三芳野神社
 
2018年4月18日 東京新聞

展示の目玉の一つ「三芳野天神縁起」(松平信綱奉納)の一部分。藩主奉納品にふさわしい優れた絵として評価が高い(川越市立博物館提供)

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 わらべ歌「通りゃんせ」の舞台とされる川越市郭町の三芳野(みよしの)神社の文化財を展示する「三芳野神社とその社宝」展が川越市立博物館で開かれている。川越城本丸内にある三芳野神社は江戸時代に幕府直営社となり、歴代川越藩主が一級の美術品や刀剣などを奉納した。現在、同博物館が収蔵する「社宝」の公開は25年ぶり。(中里宏)


 三芳野神社の創建は平安時代初期の八百七年と伝えられる。十五世紀半ばに太田道真、道灌親子が川越城(当時・河越城)を築城した際、菅原道真公をあわせてまつり、城の鎮守にしたとされている。

 川越城は江戸の北を守る要衝にあり、松平信綱、柳沢吉保といった幕府の重臣や譜代大名が藩主を務めてきた。藩主らが奉納した品々は、名前の残る絵師や仏師によって制作されたものが多い。

 展示されている「木造獅子・狛犬(こまいぬ)」は、鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)の造仏に関わった江戸仏師三人が一七三四年に制作した。八代将軍吉宗から寄付されたとの伝承がある。

 ご神体の一つの神号「南無天満大自在天神(菅原道真の神号)」は後陽成(ごようぜい)天皇の筆と伝えられる。学芸員として展示を担当した井口信久さんは「達筆で天皇の書にふさわしい風格があり、信ぴょう性が高い」と言う。ほかにも藩主の秋元喬房(たかふさ)が奉納した備前長船長吉(おさふねながよし)作の「拵(こしら)え付太刀」(一三八七年)など貴重な展示が多い。

 「珍宝」として展示されているのは、松平信綱が奉納した東南アジアの鳥サイチョウの頭骨やカブトガニの甲羅、シャコガイなどのコレクション新河岸川舟運、川越街道、玉川上水の整備など多くの実績を残し、抜群の才気から「知恵伊豆」と呼ばれた信綱が、博物学的な興味を持っていたことも分かるという。

 江戸時代、城内にあった三芳野神社は許可がなければ参拝できず、帰りには所持品を厳しく調べられたという言い伝えから「行きはよいよい、帰りは怖い」という歌詞が生まれたとして、「通りゃんせ」発祥の地の一つとされている。

 社殿は本年度の完成を目指して大修理が行われており、仮囲いの外からも、江戸時代の壮麗な朱塗りの外観がよみがえっているのを見ることができる。展示は五月十三日まで。

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