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岡本一平 『非凡人と凡人の遺書』 <音読

岡本一平   『非凡人と凡人の遺書』    <音読

岡本一平(1886~1948)は、夏目漱石に認められて、
漫画つきの文章を生み出しました。
妻は小説家の岡本太郎です。
長男が岡本太郎です。
俳優の池部良は甥です

一平の父は津藩の儒学者です。

一平・かの子夫婦は、川端康成と長く親交し、
一平は川端康成をながく尊崇していました。

文章は、一筆書きのようにスラスラーッと読めるのが特徴です。


岡本一平   非凡人と凡人の遺書  青空文庫

 牛や魚は死ぬ時遺言(ゆいごん)しない。
鳥や松の木も死ぬ時遺言しない。
遺言するのは人間だけである。

死ぬ時自分以外に他あるをかえりみてて、
そこに何か責任上の一言を遺(のこ)して置く。
これ人間が万物の霊長たる由縁であらう。


 毎年正月元日に筆を改めて
遺言状を書き直すといふ用意周到の人が
僕の知つてる範囲で二人ある。

しかも二人共かなり永生きの方なので
何通書き直したか判らぬ。

年々そう書き直す必要があるだらうかときいたら
一人は『葬儀車だつて年々進化するだらう?』
一人は『年々遺言状の思想が旧くなつて行くから』といつた。

二人共遺言状を書く真剣さを用ゐて、自分の魂をあらため験(けん)するのだつた。
中々ずるい。


音読の効用
  • 音読は、目と耳をともに使うので、記憶しやすいです。
  • ストレスが発散し、気持ちが落ち着きます。
  • のどの筋肉がきたえられます
作品の表記について
  • 読みやすいように、表記を改めた所があります。
  • 差別的な表現も、原作の独自性を保つために、そのまま表記しました。




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