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長野県白馬村 外国人が経営

2-01】(信濃毎日新聞社、文・黒沢大生、写真・毛利英俊)引用編集
和田野区の区長として活躍するダン・マットさん(中央)=長野県白馬村
「おはようございます」「ご苦労さま」―。
目の前に北アルプス・白馬連峰が広がる長野県白馬村。
良く晴れた6月、道路沿いで花の植え替えに汗を流す住民たちのあいさつが飛び交う。
その輪の中に、軽トラックを運転しながら笑顔で声を掛ける外国人青年がいた。
 英国人のダン・マットさん(33)。
1998年、長野冬季五輪の競技会場にもなった白馬八方尾根(はっぽうおね)スキー場のゲレンデ近くにある同村の和田野(わだの)区で、4月から「区長」を務める。
地方で住民の自治組織の代表を外国人が務めるケースはまれだ。

 ▽自然守る手伝い
 マットさんは英国スコットランド出身で独身。
外国で仕事をしようと、会社勤めをやめて2000年に来日。
長野県松本市などで英会話講師を始めた。
「スノーボードが楽しめるし、森そのものの中で生活できる。
村の規模も古里に似ている」と和田野区が気に入り、06年に移住。
建物を取得してロッジを開業した。

 地区の行事や作業にも積極的に顔を出した。
「似た組織が古里にあった」といい、抵抗感はなかった。
「自然豊かな地区を守る手伝いをしたい」と、区でつくる景観育成住民協定を見直す委員会にも加わった。
そんな姿に周囲から「和田野の将来を真剣に考えてくれる人」と推され、ことし4月、区長に選ばれた。

 百軒ほどある和田野区の住民の多くは、ホテルやペンション、貸別荘を営む。
五輪開催効果もあり、白馬村内はスキー、スノーボードを中心に外国人客が増加。
08年に宿泊した外国人は4万9千人を超え、04年の約5倍に達した。
和田野区では、約60ある宿泊施設の2割ほどはマットさんら外国人の経営となっている。
 
 ▽開発ルールも協議
 
 外国人はスキーシーズンが終わると帰国したり、ほかの地域へ移ったりするケースが多い。
このため、地域づくりを日本人経営者らと話し合う機会は少ない。
だが、地域の発展には冬だけでなく通年で誘客する仕掛けが求められる。
区内では、外国資本による分譲ホテル開発構想も浮上した。
景気低迷で取りやめになったが、こうした大規模開発への対応も課題だ。

 「マットさんには、外国人と日本人住民の懸け橋になってほしいという期待もあるんです」。
区内でレストランを営む蓮井英史(はすい・ひでふみ)さん(58)は話す。
「どれだけ力になれるか分からないけれど、みんなで楽しく暮らし、開発ルールも一緒に考えていきたい」。
マットさんは意欲を示す。区長の任期は1年。
地元を離れている外国人区民らにメールを送り、秋祭りへの参加の呼び掛けを始めた。

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【地域の自治組織】
 自治会や町内会などと呼ばれ、地域で共同活動する組織は2008年4月現在、全国で29万4359。
清掃や防災・防犯活動などを担うほか、回覧板などで市町村から依頼された情報も伝える。
法的根拠がない組織のため、移住者が加入せず情報が行き渡らない課題も指摘される。

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