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ラッフルズ・メディカル・グループ。シンガポールの民間医療サービス

ラッフルズ・メディカル・グループ。シンガポールの民間医療サービス
2017/11/20 nkを抜粋編集

 シンガポールの民間医療サービス大手で、中国、日本、ベトナム、カンボジアを加えたアジア5カ国13都市で病院・診療所を展開する。家族向けの診療や法人向け健康診断、伝統中国医学、空港での診療提供などサービスも幅広い。

 ホテルのような設備を備え海外から患者を誘致する「医療ツーリズム」に強みを持つ。シンガポールにある中核病院の患者の3分の1以上は外国人で、世界100カ国以上から訪れる。インドネシアやブルネイ、バングラデシュなど近隣国には駐在員事務所を設け、富裕層を勧誘する。

 ただ、近年は医療ツーリズムを強化するタイやマレーシアなどとの競争が激しくなり、成長が鈍化。2017年7~9月期の売上高は前年同期比0.3%増、純利益は1%増にとどまった。診療所の増加に伴う新規雇用などで人件費も増え、収益を圧迫する。

 活路を見いだすのが中国事業だ。既に開業済みの北京や南京、大連などに加え、18年後半に700床の大型病院を重慶に、19年後半には400床の病院を上海に開く。充実した設備や患者支援サービスの利点を訴え、生活水準の向上に伴って質の高い医療を求める中国人患者のニーズに応える。ルー・チュンヨン会長は「シンガポール市場に依存した企業から、アジア域内で多様な収益をあげる企業に変わりつつある」と強調する。

 国内でも銀行店舗、レストランと医療施設が同居する複合商業施設を手がけるなど、新たな成長戦略を探る。入院設備などを充実した中核病院の拡張工事も年内に終え、年間200万人超のグループの患者数をさらに増やす。(シンガポール=中野貴司)

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