民泊の全面解禁は、消費拡大に効果。星野 佳路(よしはる)

2016/05/14 nk、引用編集

 民家などに有料で旅行客を泊める「民泊」について、政府が全面解禁する方針を固めた。民家などの所有者が簡単な手続きをするだけで、営業できるよう法整備を急ぐ。


 ――民泊の普及が国内でも進みそうです。

 「IT(情報技術)革命が旅の世界に入ってきた。
別荘やマンションの空室などの遊休資産を、インターネットを通じて使いたい人と結びつけられる。
宿泊客の受け皿が足りない首都圏のほか、遊休不動産が多い地方都市や、一定数の観光客が訪れる離島などでも民泊の需要が見込まれる」

 ――軽井沢町が町内の民泊営業を禁止する方針を示すなど、反発もあります。

 「騒音などの問題が指摘されるが、民泊の登場でユーザーが宿を評価する時代から、宿側が宿泊客を評価できる時代になった。民泊の場合、マナーの悪い宿泊者はいずれ淘汰される

 「規制緩和が進み民泊の営業ができる場所がさらに広がれば、不動産市場では民泊の営業で収入が得られる別荘の資産価値が上がるだろう。こうした別荘の固定資産税の上昇で、地域も潤う」

 「所有者が使わない期間に宿泊者を受け入れれば、スーパーや飲食店、レンタカーなど周辺の消費拡大も期待できる。デメリットより経済効果による利点の方が大きい」

 ――既存の宿泊施設は脅威を感じますか。

 「民泊はこれまで旅館やホテルが捉えられなかった消費者ニーズに応えるものだ。既存の施設を脅かすからといって民泊の広がりを拒めば、日本の観光産業全体の競争力低下につながりかねない。新たなサービスの登場を前提に、進化する方法を探るべきだ」

 ――民泊との違いをどう打ち出しますか。

 「素人が提供するサービスに、プロが負けるとは思わない。星野リゾートは滞在中の体験を充実させているほか、ホテルや旅館への不満や要望も分析している。ただ、民泊の規制を緩和するなら、サービスの質で戦う旅館やホテルも規制から自由にしてほしい」

 ――具体的にはどのような規制ですか。

 「国内で外国人客から報酬を得て観光案内をする場合、通訳案内士の資格を持っていないと違法になる。ホテルのコンシェルジュが客に旅程を提案する場合、有料で仕事を受けるには旅行業法上の許可が必要だ」

 「宿泊施設の立地は都市計画法で定める住居専用地域以外に限定される。別荘や個人の住宅などで営業できる民泊と比べ不利だ。既存の宿泊施設に関する規制の見直しを、民泊の規制緩和と両輪で進めてほしい」

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