埼玉県が産業観光で訪日客の誘致強化。2016/8/9 nk

埼玉県が産業観光で訪日客の誘致強化・補助金や企業ガイド
2016/8/9 nkを抜粋編集

 埼玉県は今年度、工場見学などインダストリアルツーリズム(産業観光)による外国人旅行者の誘致策を強化する。

    ・企業が多言語パンフレット通訳などを整備するための補助金制度を開始。
    ・見学を受け入れる企業を紹介するガイドブックも作成する。

県内を訪れる外国人旅行者は増えているが、2020年の東京五輪に向け、さらに促進したい考えだ。

 精密板金・レーザー加工業の野火止製作所(新座市)の工場。従業員がレーザー加工機などを操り、金属や樹脂素材を繊細な模様や大きな文字に造形していく。同社は小惑星探査機「はやぶさ」の回収ボックスの製作に協力、三井アウトレットパーク入間(入間市)の7割の店の看板を手がけるなど、技術や納期の短さへの評価が高い。

 同社は英語と中国語による会社紹介ホームページとパンフレット、英語のテロップ入りDVDの作成を進めている。年1回程度、旅行会社から外国人の工場見学の要請があり、今後は受け入れを拡大したいという。川上博史社長は「技術力を広く知ってもらえれば新たなチャンスや国内でのイメージアップにつながる可能性がある」と話す。

 県は6月、「インダストリアルツーリズム促進事業補助金」制度の募集を始めた。県内に工場や体験施設のある企業が外国人を案内するために、多言語でパンフレットやホームページを作成したり、通訳や音声ガイドを導入したりする場合、経費の2分の1以内で50万円を上限に補助する。これまでに野火止製作所と飯能製作所(飯能市)が採択された。11月末まで申請を受け付ける。

 また、県は8月中をめどに「インダストリアルツーリズム多言語ガイドブック」を完成させる。英語と中国語の繁体字と簡体字、日本語版で外国人旅行者の見学を受け入れる酒造や伝統食、伝統工芸、工業の30社を紹介。駐車場や無線LAN「Wi―Fi」の有無、周辺観光地や宿泊施設の情報も盛り込み、主に旅行会社向けに配布する。

 2015年に埼玉県を訪問した外国人は推計27万6千人で、5年前から倍増しているが、日本を訪れる外国人の2%以下とどまる。

 県は誘致拡大を目指し、8月1日には台湾で旅行を売り込む「埼玉国際観光コンシェルジュ」を設置。中国と台湾を重要地域に位置づけ、旅行会社へのPRを展開しているが、観光地以外に産業観光の機会があれば団体旅行を組みやすいとの声が多いことから、環境整備を進めることにした。

 県観光課は「県内には技術レベルの高い企業が多い。協力を得て、周辺地域での消費にもつながる取り組みにしていきたい」としている。

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