地場メーカーの出店が続く児島ジーンズストリート。2012 |
はき古されたジーンズが秋風に揺れる。
通りの上からつるされた歓迎の"アーチ"に、観光客が思わずカメラを向ける。
岡山県倉敷市南部、児島地区の児島ジーンズストリート。
かつてはにぎわいの中心だったが、シャッターが目立つようになった味野(あじの)商店街を、地場ジーンズメーカーの販売店集積により再興する取り組みが進んでいる。
江戸時代から繊維産業が息づく児島地区は1960年代、国内で初めて生産に乗り出した「国産ジーンズ発祥の地」。
今では関連業者がひしめく一大産地に成長した。
ストリート構想は2009年末に実現へと動きだした。
メーカーや商店街関係者、空き店舗対策を模索していた児島商工会議所などが推進協議会を組織し、店舗誘致やジーンズの"聖地"としてPRに力を入れてきた。
当初の3店(雑貨1店含む)から17店(雑貨、飲食各3店含む)へと順調に増え、ジーンズの写真をラッピングした自動販売機もお目見え。
取り組みを後押ししようと、市の幹部と議員がデニム姿で論戦に臨むジーンズ議会も恒例になった。
ストリートの一角に店を構える「桃太郎ジーンズ児島味野本店」によると、08~10年度に5千~7千人台で推移していた来店者数が、11年度は1万9千人台へと大幅増。
12年度はさらに増える見込みという。
同推進協議会の真鍋寿男(まなべ・ひさお)会長(58)は「店舗数、来客数のさらなる増加と両輪で、起業を夢見る若者らを呼び込み定住人口も増やしたい。
ストリートを核に、児島地区全体のにぎわいを目指す」と夢を描いている。
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歴史が構想に厚み
干拓で平野を広げた児島地区。
塩害に強い綿花の栽培から繊維産業が興り、真田ひも、足袋、学生服と変遷する中で蓄積した技術が、ジーンズへの転換を可能にした。
こうした歴史の裏打ちが、ストリート構想に厚みと“物語”を与えている。
デニム:厚地の布地
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