【1-01】(下野新聞社、文と写真・沼尾歩)抜粋編集
初公開された日光東照宮・五重塔内部。仏像の奥で光輝くのが心柱=栃木県日光市 |
世界遺産の日光東照宮はスカイツリー開業日の2012年5月22日、五重塔(国指定重要文化財)内部を初公開した。
耐震効果が高い「心柱(しんばしら)」構造が、スカイツリーの制震システムに応用されているとして、思いがけず注目を集めたことがきっかけ。
東照宮職員ですら見たことがなかった「秘宝」で、関係者の期待は大きい。
年間1200万人の観光客が訪れる日光では、観光が基幹産業だ。だが、昨年は東京電力福島第1原発事故の影響で、前年比274万人の激減。日光市観光部は、観光スポットの空間放射線量を測定し、「国の示す年間被ばく許容量を下回っている」とPRしたが、ことしに入ってからも風評被害は続いた。
苦境の中、日光と東武鉄道で直結するスカイツリーの開業は頼みの綱。観光復興の目玉にしようと考えた観光協会の要望に応える形で、特別公開が決定した。五重塔近くの表参道がツリーの高さと同じ標高634メートルであるなど、共通点もある。
日光東照宮・五重塔の心柱
直径60センチの心柱は塔の4層部分から鎖でつり下げられ、重心が常に中心にあることで振動を和らげる役割を果たすという。
畳敷きの内部は金箔(きんぱく)や彩色が施され、豪華絢爛(けんらん)だ。
東照宮の稲葉久雄(いなば・ひさお)宮司は
「心柱は世界に誇れる匠(たくみ)の技。日本の素晴らしさを再認識する機会になるのでは」と期待を寄せる。
* 心柱の神髄は床下に
華美な内装に目を奪われがちだが、心柱(しんばしら)の神髄を知りたければ外側に回ってほしい。床下の格子の隙間に目を凝らすと、地表から数センチ浮いていることが分かる。地震の際は振り子状に動き、重心が保たれるのだという。
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