雪室内で仲間とリンゴを手に取る「ほなみ村」の宮崎匡躬会長(左)。 |
地元の地域おこしグループ「ほなみ村」は、雪室(ゆきむろ)で貯蔵した「雪中(せっちゅう)りんご」を大型連休中に町内の道の駅「北信州やまのうち」で販売。「甘くてシャキシャキしている」と観光客らの人気を集め、連日約500袋(3~4個入り、400円)が1時間ほどで完売した。
雪室は約20平方メートル。コンクリートの壁と、木材を並べた天井でできており、外側を雪で覆い、内部にも雪を入れて冷やす仕組みだ。高い湿度のまま冷蔵できるため冷蔵庫のように貯蔵物が乾燥せず旬のリンゴに近い歯応えとみずみずしさが保てる。冷房用の電気代を省けるため、節電ならぬ"雪電"にもなる。
昨秋に収穫した信州特産の品種「サンふじ」3・4トンを貯蔵し、雪中りんごと名付けた。「ほなみ村」の宮崎匡躬(みやざき・なおみ)会長(69)は「特産品に付加価値を付け、地域をアピールしたかった」と話す。
町も雪利用を積極的に進める。来年度は農業用倉庫を雪室に改修して150トンの雪を蓄え、ソバ、果物、根菜、山菜などの貯蔵を計画。「雪干しエノキタケ」「雪干し信州サーモン」といった特産品開発や食品のブランド化を図る。町内の湯田中温泉や渋温泉などの宿泊客にも食材として提供、観光地の魅力アップにつなげたい考えだ。
雪という「再生可能エネルギー」の新たな活用スタイルを信州から発信できるか―。町内の熱意と期待は高まっている。
* 環境問題でも可能性
その土地ならではの食べ物との出合いは旅の魅力の一つだが、海のない信州では、特に冬や春先に地元の食材をどう工夫して提供するかが長年の課題。雪の活用はこの悩みの解消に役立つだけでなく、環境やエネルギー利用の面でも大きな可能性を秘めている。
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