2008/06/03

ときがわ町再生事業に名乗り 7団体

埼玉新聞 2008年6月2日

ときがわ町観光の可能性を探るため、町内各所をめぐった見学会=ときがわ町のJR明覚駅前  
  観光集客で地域の足を確保しながら山林と河川の維持回復をしよう―と、ときがわ町のNPOと川越の観光研究団体らが、同町の推薦を受け、総務省「地方の元 気再生事業」に手を挙げた。提案が認められば、バスIC周遊クーポン実験や観光・産業分野の人材育成、エコツーリズムなど幅広い実験に取り掛かれるとい う。
 名付けて「奥武蔵ときがわ山里元気再生プロジェクト」。提案者は同町のほかNPOときがわ山里文化研究所、川越奥武蔵観光情報学研究会、東京国際大人間社会学部桑原政則研究室ら同大の計四研究室の計七団体。
 都市と山里の交流人口を増やし地域振興と生活利便性を向上させるのが目的だ。生活交通手段であるバス運行を観光客がバックアップする態勢を模索する。外国人観光客にも利用しやすい環境整備も研究したいという。
 比企地方は、伝統と多くの文化遺産、豊かな自然景観がある。しかし人口減少と高齢化が進み、森林の間伐不整備、水の保全など課題も抱えている。観光施設 も充実してきているが、多くは川越どまり。比企まで足を伸ばす人は少ない。貴重な足となる町営バスは、川越のイーグルバスに委託しているが、生活交通手段 のため観光客には使いづらいという。
 谷島賢・イーグルバス社長は「町の観光資源を結ぶ周遊観光バスとしても町営バスを活用できないか。研究する価値は大きい」と実験に乗り気だ。
 審査の結果発表は八月。申請予算は平成二十年度約三千四百九十五万円を見込む。事業期間は二カ年。認められれば本年度、地域顧客の把握と周遊券などの実証実験を実施。来年度から、本格展開に向けイベントやボランティア育成などに取り組みたいとしている。
 提案をまとめた桑原教授は「比企地方は、こんなに東京に近いにもかかわらず自然豊かで伝統文化が息づき、日本の原風景を維持しているまれな里山です。多くの人が価値に気づき、態勢を整えられれば世界各国のお客さんも迎えられる地域」という。
 同町の久保均企画財政課長は「皆さんのアイデアや力が町の発展につながればうれしい」。慈光寺の清掃ボランティアなどで活躍するときがわ山里文化研究所 の柴崎光生理事長は「慈光寺には国宝が眠っている。地域文化・歴史を説明できるボランティアを育成して価値を広くアピールできれば…」と、総務省の判断に 期待を寄せている。
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地方の元気再生事業:  政府の「地域活性化統合本部」(本部長・福田康夫首相)が昨年十一月決めた地方再生戦略に基づく。統合本部は、「都市再生」「中心市街地活性化」「構造 改革特区推進」「地域再生」の四本部を一本化し、窓口を統一。全国を八カ所の地域に分け、計画策定から実施までサポートする。地域の自由な取り組みをその まま尊重するのが特徴だ。
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