観光断章10項目  感謝とご挨拶に代えて 桑原政則

桑原政則


 観光断章10項目  感謝とご挨拶に代えて

2008年11月22日「いい夫婦の日」にお運びくださいまして、ありがとうございます。
22団体から後援をいただき第1回の川奥観研シンポジウムを開催します。
川奥観研は、「情報による観光の振興」をモットーにした、観光、地域づくり、人のつながりに関心をもつ者の研究会です。開催にいたるまでに多くの方々から ご協力をいただき感謝いたしております。

1.
このシンポジウムは、川奥観研の手作りの発表会です。
スピーカー、発表者は、すべてメンバー、地元の方々からなります。外部から有名人や専門家をお招きしていません。自分たちの成長のため、地域の力をつける ために、あえて手作りにこだわりました。

2.
今日は、おそらく全国の学会、研究会で初の試みであるネットからのプレゼンをいたします。
プレゼンの資料はコンピュータにはなく、空中にあります。
いわばお金を自宅の金庫にしまうのから、銀行、郵便局へ預けるようなものです。
時代はあらゆるデータを空中に保管し、それを取り出して使うようになってきています(=クラウド・コンピューティング)。いずれ、これをおこなう団体、企 業が時代を先取りすることになります。


3.
2009年はNHKの春ドラ「つばさ」で、観光客がふえます。
しかし、かえって迷惑のところもあります。お寺さんがその代表です。
法事の最中にグループで観光にワイワイ訪れたり、ゴミなどを放置したりしますが、
おさい銭などにはほとんど寄与しません。
地域の大事な観光資源である寺閣へのなんらかのバックアップの必要があります。

4.
「つばさ」のあとの観光客減少対策を講じておく必要があります。これからの時代の観光は、「リピーター(既存客)の確保」が命題です。来訪者を離反顧客に しないためには、観光スポットを拡大するのも一法です。
マチナカ→ 川越市全域(「花と緑のぶらぶら散歩」)→ 川越都市圏7市町(「レインボー観光圏」)→ 川越地域・奥武蔵観光圏→ …

5.
観光力を向上するには、地域ブランド産品をふやすことも必要です。
この研究会の石井昭三副会長 の「骨酒パック」は、昨年「小江戸川越ブランド産品」に認定されました。今年は「彩の国優良ブランド品」に認定されました。多くの方、企業がこれに続け ば、埼玉の品格、魅力、観光力はさらに増すことになるでしょう。外国人にとって、日本の魅力は、「ショッピング」が1位です。2位は「伝統文化」です。

6.
先週観光情報学会の会合で金沢へ行ってきましたが、埼玉県の認知度は低いです。
まして「彩の国」では通じません。彩の国ではなく、堂々と「埼玉県」をもっと露出したほうがよろしいようです。「川奥観研」も「埼玉観研」へ改称手続き中 です(*)。

7.
埼玉県では、ホームページをまだもってない企業団体があります。広報が必要です。川奥観研は、ホームページの新設、質的向上のお手伝いをしたいと思ってい ます。金沢の研究会で、中国人大学院生は「中国人の9割以上はホームページを閲覧してから訪日する」と発表していました。都道府県別観光力ランキングで は、埼玉県は41位です。しかし埼玉県は「伝統的な古い日本は東京に近い埼玉にある」との趣旨のもとに「True Japan」という英語版のホームページで外国人にアピールしはじめました。埼玉観光が飛躍しはじめました。

8.
「埼玉」、「川越」の商標登録を中国でもおこなう必要があります。
でないと、中国産のうどんやウナギを「埼玉饂飩」、「川越鰻」と名付けて世界中で販売することができます。31道府県が府県名を商標登録していますが、埼 玉県はまだしていないようです。


9.
着地情報のデータ化が必要です。
ベンチマークにより独自のデータを作り上げ、量の拡大よりも質の向上をはかることが重要です。観光も科学の時代です。


10.
観光客が求めるのは、物よりもまちの人のやさしい笑顔です。
地域の人が、手をつなぎ、交流会などで笑顔で声をかけあう関係を幾重にもつくりあげ、地域の風通しをよくすれば、まちは魅力的に明るくなります。観光は笑 顔づくり、地域づくりの主要な手段です。

【*】
1.川奥観研は、埼玉県で初めての観光NPO法人です。
2.川奥観研は、関東圏で初の観光情報学会(全国組織)認定の研究会です。
3.川奥観研は、2010年観光情報学会の全国大会を開きます。
4.川奥観研は、規模を拡大のため「埼玉観研」へ改称申請中です。
5.川奥観研では、週1回通信をお送りしています。「通信を送ってください」とメールをおねがいします。

2008年シンポジウム挨拶集