お国言葉・南部弁。語り部育て文化を発信。八戸市

【2-1】(デーリー東北新聞社、文と写真・佐々木萌)引用編集
  柾谷伸夫さん(左端)が語る「南部昔コ」に聞き入る子どもたち

 「おでぁんせ(いらっしゃい)」「よがんすべ(いいでしょう)」―。
青森県南部地方に伝わる「南部弁」。
同じ青森の津軽地方の「津軽弁」と比べ知名度は低いが、特有の風土や歴史の中で育まれてきた言語文化だ。
衰退しつつあるお国言葉を守ろうと、南部の中心都市・八戸(はちのへ)市でさまざまな活動が行われている。

 青森県は日本海側を「津軽藩」、太平洋側を「南部藩」と分けて統治された時代が長く続いたため、言葉の違いが生まれたと言われている。

  はきはきとした印象の津軽弁と比べ、南部弁は柔らかな響きが特徴だ。
岩手県の言葉とも共通し、地域ごとに微妙な違いもある。
ただ、標準語があふれる環境となり核家族化も進んだことから、南部弁を知り、使う機会は急速に失われている。

 八戸市内で伝承活動の中心を担っているのが、劇作家で市公民館長の 柾谷伸夫 (まさや・のぶお) さん(65)だ。
柾谷さんは「方言は、まちのアイデンティティーを発信する方法であり大切な文化」と語る。


  昨年、市公民館は南部の民話集「南部昔コ」の語り部を養成する講座を初めて開催。
予想を大幅に上回る約100人が参加し、関心の高さをうかがわせた。

 12月6日を「南部弁の日」に制定することも決定。
長年伝承に尽力し、2012年に死去した地元の郷土史家 正部家種康 (しょうぶけ・たねやす) さんの命日で、今後この日に多彩なイベントを催す予定だ。

 柾谷さんはことし、市内の小学校で南部弁の面白さを伝える活動にも力を注ぐ。
幅広い世代が南部弁を知り興味を持つことで、郷土の良さを見直すことに期待したい。

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 地元の若い世代も南部弁のイントネーションは自然と身に付けていて、年配者につられてなまりが強くなると、不思議と会話が弾んでいく。
人と人との距離を縮める力も、魅力の一つだろう。

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