なぜ「漢」はサンズイヘンか 阿辻哲次
2017/3/1 nkを抜粋編集
「漢」の字にはサンズイヘンがついているが、その理由がぱっと見ただけではわからない。
いったいなぜ「漢」に中国という意味があるのだろうか。
それは始皇帝の秦がほろんだあとに劉邦が建てた漢王朝が、古代中国を代表する、もっとも強力で長い時間続いた王朝だったからである。
劉邦が王朝名を「漢」と名乗ったのは、始皇帝なきあとの戦乱で最初に領地として支配したのが、現在の陝西省南部にある漢水上流地域だったからである。この河の名にもとづいて劉邦はみずから「漢王」と名乗り、やがて最大のライバルであった項羽を打倒して、みずからの大帝国をつくった時に、国号を「漢」と定めたのだった。
「漢」はもともとこの河の名前だから左側に《水》がついており、右側にあるのは「カン」という発音を表す要素である。
最初は河の名前だった「漢」が王朝名に使われ、さらには中国という広大な国の文化や価値観の総称に使われるようになった。この河は劉邦によって大出世をとげたのである。
( 阿辻哲次 漢字学者)
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