2016/09/30

シンガポールでは幼児もバイリンガル教育が常識


シンガポールでは幼児もバイリンガル教育が常識!
ダイヤモンド  2016年9月27日 花輪陽子 highlighter

幼少期の英語教育が充実するシンガポールを見ると、
英語教育のための早期の“投資”の必要性を実感!
シンガポールの小学校は、授業を英語で実施!
英語ができなければ、いい学校や会社に進学・就職ができない!

  ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。

 シンガポールに住んでいて、常々すごいと感じているのが英語教育です。地元の幼児向けの学校では、1歳半から英語と中国語のバイリンガル教育を行う環境が整えられています。さらに、小学校からは母語(中国語、マレー語、タミール語)を除いて、全科目の授業が英語で行われます。

 シンガポールの小学校には卒業試験があるのですが、試験の結果次第でその後の進路が決まるため、ベースの英語ができないと良い進学や就職ができません。英語ができなくてもこなせそうなイメージのある仕事(例えばタクシードライバー、ベビーシッターなど)でも、稼ぎたいと思うなら絶対に英語ができたほうが好都合なので、多くの人は流暢に英語を話します。日本で中学生から英語を学んだ身としては、圧倒的な年季の差を感じさせられます。

2020年からは、日本の英語教育環境も大きく変わる予定です。小学校の外国語教育が始まるのは、従来の5・6年生から3・4年生に前倒しになるとともに、5・6年生からは英語が正式教科になり、授業数は週2コマに増え、大学入試にも「スピーキング」が導入される予定とのことです。

 この大改革で、ようやく日本の英語教育レベルも世界標準に近づいていくことになりそうですが、シンガポールと比較すると、学校や生活の場での英語に触れる機会は、圧倒的に少ないと感じます。

 日本人で海外留学する人は、他国と比較しても多くないとされますが、その理由として、金銭面以外に「英語力不足」が挙げられるようです。つまり、英語力が不足しているがために、海外の大学に進学したくてもできない人が少なくない、ということです。

 世界の「一流」とされている大学では、「IELTS」や「TOEFL iBT」といった国際的な英語能力の検定試験で、ハイレベルのスコアを求められることが多く、さらにスピーキングの試験もあります。よって、海外で暮らした経験のない日本人が海外の大学を目指す場合、英語でつまずくのは無理もない、と言えます。その点、幼少時からの英語教育が進んでいるシンガポーリアンであれば、英語力が壁となって留学できない、ということはまずありません。

 ちなみに、「バイリンガル教育は子どもの脳にもよい」という海外の研究結果もあります。そのせいというわけでもないかもしれませんが、シンガポーリアンは勉強という面では本当に優秀だと感じます。

子どもに英語力を身に着けさせたいなら
親も一緒に学習するのが手っ取り早い!


 もし、日本人がシンガポーリアンと同じような英語教育をしようと思うと、お金はどれくらいかかるのでしょうか?

 シンガポールで暮らしている日本人でも、こちらは日本人コミュニティーが非常に大きいために、相当意識をして英語に触れる環境を作らないと、ほとんど英語が身につかないということにもなりかねません。


写真は、わが家にある英語の教材や本。一つひとつは1000~2000円程度ですが、どんどん量が増えていっています。
 言うまでもないことかもしれませんが、外国語習得のためには、その語学に触れる機会をできるだけ多く作ることが必須です。ネイティブスピーカーに話しかけられる機会を作るには、友達を作るのが一番有効であり、なおかつ経済的でもあります。

 また、子供の英語学習のためには、やはり親も一緒に学んだほうがベターです。英語の本を読むなどすれば一緒に学ぶこともできますし、家庭教師代やスクール代も節約できるからです。

 日本のサービスだと、テレビ電話やSkypeなどで行うオンライン英会話レッスンは、1回(25分前後)当たり200円前後(プラン、講師による)からあります。そういった安いプランの場合、1日1回利用しても月6000円程度でできるので、比較的ハードルは低いです。

無料でリスニングの学習をしたいならYouTube
毎日耳で聞き、英文を読み、話す機会を作る


 それよりも値段は上がりますが、英語で習い事をしたり、インターナショナルスクールのホリデープログラムを活用する、という方法もあります。

 わが家の場合、私自身と子どもの英語のレッスンも兼ねて、シンガポールにある英語の幼児教室に通っています。2歳児クラスでは挨拶、天候、数や形、動物の名前や鳴き声などから学んでいます。スクールやその場所で知り合う母子とのやりとりにより、親子ともに英語力が鍛えられるので一石二鳥です。このように、外国人が多い幼児教室や完全英語の幼児教室は日本にもあり、1回数千円で受講できる場合が多いです

 また、インターナショナルスクールのホリデープログラムも、完全に英語環境の中に身を置くという意味では、良い選択肢と言えます。ただ、インターナショナルスクールのホリデープログラムは、日本でもシンガポールでも、1日当たり1万円前後のことが一般的なので、決して安いわけではありません。しかし、さまざまな国の子どもと一緒に学ぶことができ、なかには多様なイベントが組み込まれていて、子どもにとっても楽しいプログラムが充実しているインターナショナルスクールもあるので、選択肢の一つとして検討する価値はあります。

 自宅学習だと、リスニングの練習には、テレビやCDなども効果的です。ディズニージュニアなど良質な英語番組は日本でも契約可能ですし、良質な海外の絵本や教材は、amazonなどで購入できます。むろん、YouTubeに挙がっている動画を利用すれば無料ですね。

 こちらに来て強く感じたのは、英会話もスポーツと同じで、日々トレーニングを継続しないと鍛えられないということです。野球やソフトボールが上手になるには、毎日の走り込み、素振り、キャッチボールなどが欠かせないと思いますが、英語力向上のためにも、テレビやラジオを英語で聞き、英語の記事を読み、メールやチャットをし、ネイティブスピーカーと話すことが重要なのです。

国際人として高い報酬を得る仕事をするには
必ずベースの英語力が求められる


 私は外資系企業で8年働き、さらにこの1年海外に住んで、さまざまな国のビジネスマンを見てきました。国際人として活躍するビジネスマンは多様なスキルを持っていますが、ベースには高い英語力があります。逆に言うと、英語ができなければ色んな可能性への扉が閉ざされてしまいます。

 また、外資系企業のほうが給与も高いことが多いので、高い報酬を得るためにも英語力はあったほうがいいと言えます。私自身が以前ヘッドハンターに登録をしていたときの経験で言うと、外資系企業では20代でも年収800万円前後の求人はたくさんありました。

 これまで、英語は一部のキャリア志向の人の必需品というイメージでしたが、今後はそうも言っていられなくなると思います。日本国内の消費のみに頼ってこられた時代は、日本語だけで十分仕事ができましたが、生産労働人口の減少に伴い、国内の消費のみに頼るのは徐々に厳しくなると考えられるからです。

 英語教育自体は小学校3年生から学ぶだけでもギリギリ間に合うかもしれませんが、発音を正しく身につけるには、小さい頃からスタートするほうが苦労は少ないでしょう。日本において発音は軽視されがちな気がしますが、発音が悪いと、正しい英語を話していても聞き返されることが多いです。

 また、いずれ学習をするのであれば、最初に投資をしたほうがその効果は長く続きます。私は高校時代から英会話に総額100万円以上投資してきましたが、未だになかなか思うレベルにはならずに苦労しています。そういう思いもあって、子供には早くから英語を教え始めています。

 今後、ますます自動翻訳などの精度が上がり、今までより語学のハードルが低くなるとは言われているものの、現段階では語学はできるに越したことはありません。海外に出てみると、日本以外の国の人達は英語を当たり前のように使いこなしているのだと改めて感じ、英語教育の重要性を再認識しています。

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