「中島商店会コンソーシアム」は、買い物客を呼び込もうと地元産品の抽選会を開いた。2014 |
「鉄のまち」で知られる北海道室蘭市。
人口減少を背景に大型店が次々と閉店、買い物客流出や買い物弱者の課題に直面した。
商業者はコンソーシアム(共同体)を組みにぎわいづくりに挑む。
室蘭市では1981年、丸井今井の移転開業に続き、室蘭ファミリーデパート桐屋(現イオン室蘭店)、長崎屋の大型店3店が同時にオープン。
周辺の商店街にも買い物客を呼び込んだ。
しかし、2010年に丸井今井が、12年には長崎屋も閉店してしまった。
危機感を抱いた商業者はスクラムを組んだ。
丸井今井のあった同市中島地区の商業団体は「中島商店会コンソーシアム」を発足。
お薦め商品を紹介する「一店逸品運動」などを行い、地元の良さを知ってもらおうと知恵を絞る。
室蘭工業大の学生と若者が集まる仕組みづくりも始めた。
本や衣類など幅広い商品をそろえていた長崎屋が閉店した同市中央地区は、買い物弱者が問題になった。
商業団体などでつくる「中央町商店街やさしさ事業コンソーシアム」は、生活用品などを安く提供する「わいわい広場」を開催。
「お年寄りに憩いの場を」との声に「ふれあいサロンよってけ浜町」もつくった。
中島地区では、近くの大型店の拡張移転計画が持ち上がり、魅力ある 商店街づくりの 重要さは増している。
中央地区は大手スーパーが長崎屋跡地に今夏、オープンを予定する。
買い物弱者問題は一段落しそうだが、商店街への影響は読み切れない。
大型店の盛衰は二つの地区に、地域と歩む商店街の意義をあらためて考えさせた。
中島コンソの 小野寺芳子 (おのでら・よしこ) 代表幹事(66)は「先代たちがつくった地区を廃れさせるわけにはいかない。まちづくりは義務」と、熱い思いを込めた。
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最盛期20万弱を誇った室蘭市の人口は、9万を切るのが時間の問題だ。
商店街を取り巻く環境は厳しいが、策を工夫し買い物客獲得につなげている。
視線の先には「商店街が未来のまちをつくる」との思いがある。
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