仮想現実で訪日客誘え
城や寺院再現・ゲームで楽しく 地方で消費促す
2017/10/4付 nkを抜粋編集
観光庁は訪日客が日本での体験を楽しむ「コト消費」を広めるため、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用した観光推進に乗りだす。来春にも滞在期間が長い欧米客の観光ニーズを調べ、日本文化などをより身近に感じてもらえるように環境を整えていく。地方への誘致を促し、2020年には訪日客消費を8兆円に増やす狙いだ。
【※】
仮想現実(VR) Virtual Reality
拡張現実(AR) Augmented Reality
観光庁はVRを用いてしか得られない体験型の観光を広げ、地方の隠れた名跡への訪問を促したり、名産品を買ってもらったりするのを目指す。
VRのコンテンツの候補として挙がっているのは、伝統的な日本文化の体験や、ゲーム、スポーツなど。文化関連では、訪日客が全国各地の寺院や城に足を運んだ際に、VRを組み込んだ双眼鏡のような装置やスマートフォンを活用してもらう。
今は石垣しか残っていない史跡でも、VR技術を使えば戦国時代や江戸時代の迫力のある城の様子を目の当たりにできたり、当時の風景なども再現できたりする。
より正確に再現するために文化庁が保有するデジタル文化財を積極的に活用するほか、VRを開発しているベンチャー企業の技術も支援する。
ゲームでは、観光地を巡ると、VRによって街中に人気キャラクターが現れてお薦めのルートを案内したり食事の場所や宿泊施設を紹介したりすることが考えられる。
コンテンツ作成に向け、来春、米国、英国のほかドイツ、フランス、オーストラリアなどの10カ国を対象に、インターネットを使ったマーケティング調査をする。
在日外国人や観光に詳しい通訳を交えた有識者会議も新たに立ちあげる。
外国人が日本でどのような「コト消費」に興味をもっているかを探り、VRコンテンツについても議論し、来年末をめどに観光推進に向けたガイドラインを作る。
2016年の訪日客消費額は、前年に比べて8%増の3兆7476億円だった。中国人による“爆買い”は減っているが、消費額の4割を占めている。
20年に8兆円の消費額を目指すなら、1人あたり消費額の大きい欧米からの集客を増やしていくことが欠かせない。VR体験を取り入れ、長期間にわたって日本を楽しんでもらう観光スタイルを提案するほか、リピーターの獲得につなげる。
調査会社IDCジャパン(東京・千代田)によると、VRとAR関連の世界市場は21年に2150億ドル(約24兆2000億円)と、17年に比べ19倍の規模に膨らむという。
世界の年間平均成長率は113%を見込んでおり、今後、運輸や教育、観光など様々な分野に用途が広がるとみられる。特に欧米では日本に比べて市場が急拡大している。
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