ウミネコ飛び交う八戸市・蕪島(かぶしま) 「三陸復興国立公園」の玄関に

11-1】(デーリー東北新聞社、文・井上周平、写真・松橋広幸)引用編集
 観光客を歓迎するかのようにウミネコが飛び交う蕪島。
三陸復興国立公園の北の玄関口となる。2013

 青森県八戸市にある国の名勝、種差(たねさし)海岸の最北端に位置する蕪島(かぶしま)。
間近でウミネコを観察できる国内唯一の繁殖地で、1922年に国の天然記念物に指定された。
それから90年余。
蕪島は、5月に創設する「三陸復興国立公園」の北の玄関口に生まれ変わる。

面積は約1・8ヘクタール。
かつては陸から150メートル離れた文字通りの島だったが、埋め立て工事で陸続きとなった。
頂上には弁財天をまつる蕪嶋神社が鎮座し、700年以上にわたり地元住民の信仰を集めている。

 ウミネコは毎年2月ごろから飛来し始め、3万~4万羽が子育てをし、8月ごろに旅立つ。
島の上空を大挙して飛び交い、境内を所狭しと闊歩(かっぽ)する光景は圧巻の一言に尽きる。

 「オアーアーアー」。
鋭い眼光に似合わない甲高くてチャーミングな鳴き声が響き始めると、市民は長い冬の終わりを実感する。

 東日本大震災では、蕪島周辺にも大津波が襲来した。
だが、2週間後には市民ボランティア約300人が泥やがれきの片付けを行い、元の美しい景観を取り戻した。

 蕪島は、三陸復興国立公園の主要プロジェクトで、福島県相馬市まで続く長距離歩道「みちのく潮風(しおかぜ)トレイル」の出発点にもなる。
市はこうした動きを観光振興につなげようと、島の周辺に芝生公園や道の駅を整備する計画だ。

 蕪嶋神社の野沢俊雄(のざわ・としお)宮司(62)は「ウミネコが人間と近しいのは、地元住民が長年、信頼関係を築いてきたからこそ。
全国の観光客を迎えるのに最適の地だ」と胸を張る。


三陸復興国立公園
蕪島
八戸市

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