外国人を地方の旅に呼ぼう。 2016/11 nk

外国人を地方の旅に呼ぼう。
2016/11/4付 nk、 highlighter

【※】外国人客数 (インバウンド)
2013年  1000万超
2016年  2000万超
2020年  4000万 (目標)
2030年  6000万 (目標)

 2016年に日本を訪れた外国人旅行者数が2000万人を超えた。円安やアジア圏の経済成長の影響が大きいが、大都市への集中や買い物の低迷など課題も浮上している。地方での文化体験など観光の幅を広げる試みが重要だ

 13年の訪日外国人は年間で1036万人だったから、3年で倍増したことになる。政府は20年に4000万人、30年には6000万人まで増やす構想だが、受け入れ体制を整えないまま目標人数を追うことには危うさがある。

 また、中国人観光客を中心とした買い物熱も一服してきた。本国でも日本の商品をネット経由で購入できるようになってきたことと、旅の目的がモノの購入から体験に移ってきたことが大きい。

 買い物では大型商業施設のある大都市が便利だが、日本ならではの文化や自然は大都市よりも農村や地方都市に豊富に残る。地方にとっては好機だ。

 外国人観光客の旅行先は今も東京から富士山を経て京都、大阪へと抜ける「ゴールデンルート」など一部の観光地に偏る。一方でフランスやイタリアなど欧州の観光先進国をみると、地方の州や都市が独自の魅力を訴え、観光客を引きつけている

 日本の各地方も魅力を発掘し、海外の人々に発信したい。そのためには名所や自然環境の宣伝だけでなく、宿泊サービスや案内スタッフ、スムーズな移動手段の確保が課題となる。民泊やライドシェア(相乗り)など、海外で普及している旅のインフラを積極的に導入し、その充実ぶりを訴えるのも有効ではないか。

 近年の訪日外国人の内訳は、中国、韓国、台湾、香港の4つの国・地域で約7割を占める。これらは政治情勢の影響を受けやすい。東南アジアや欧米など他の地域からの集客にも力を入れたい。

 特に欧米からの観光客は、宿泊施設や文化・自然体験への支出に意欲的だ。地方はこうした地域への働きかけに、じっくり腰をすえて取り組むのも手だろう。

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