「幻の戦車」を探せ 浜名湖で住民と専門家がタッグ

13-2】(静岡新聞社、文・矢嶋宏行、写真・岡田拓也)引用編集
 「四式中戦車チト」の潜水調査。2013

 旧日本軍が終戦直前、当時の最先端の技術を結集して造った「四式中戦車チト」。
完成したのは2両だけで、うち1両が終戦直後、米軍から隠すため、ひそかに静岡県の浜名湖に沈められたとされる。
その「幻の戦車」の探索プロジェクトが、同県浜松市北区三ケ日町で進んでいる。

 歴史的遺産を探し出して町の活性化につなげようと始まった活動に、全国から協力者が集まり、それぞれの持つ技法を駆使して湖底に眠る姿を追い求めている。

 探索を始めたのは地元の町おこし団体「スマッペ」。
事務局長の中村健二(なかむら・けんじ)さん(53)がオンリーワンの地域資源として戦車の存在に目をつけた。

 探索は当初、町の若者らが中心になる予定だったが、活動を知った人や企業が、東京や三重、福岡などから次々と協力を申し出た。

 調査は、これまでに10回ほど実施。
海洋調査会社や測量会社が水中探査し、データを集めた。
潜水調査をするのは、水中工事や遺跡の発掘を得意とするダイバーたちだ。
中村さんは「各分野の専門家が集まってくれた」と話す。
一方、地元の若者は協力者の活動のサポートに回った。
道具の準備や宿の紹介など裏方の仕事をこなす。

 協力は探索だけにとどまらない。
活動の様子をドキュメンタリー番組にまとめて映画祭へ参加する計画や、周辺を観光地として売り出す考えもある。

 「戦車を見つけるのはゴールの一つ。
戦車をきっかけに多くの人が集まったことで、活動の可能性が広がった」と中村さん。
地元住民と協力者が手を携えて、地域資源を発信する取り組みに可能性を見いだしている。

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四式中戦車  wp

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