秋サケ稼働  漁場復旧 岩手県・陸前高田市

7-2】(岩手日報社、文・向川原成美、写真・大和田勝司)引用編集
海から起こした定置網で勢いよく跳ねる秋サケ。漁業者はひた向きに漁に励む。2012

 岩手県主力の秋サケ漁は、東日本大震災を乗り越えて2年目の漁期を迎えている。
津波で甚大な被害を受けた定置網は、1年8カ月余りで7割まで復旧した。
今シーズンは残念ながら不漁で、網の中で躍るサケは少ないが、漁業者は「浜の復興」を信じて前に進む。
 「漁業が寂れてしまったら、地域の復旧も復興も成り立たない」
 陸前高田市の「広田湾漁協」(佐々木戝(ささき・たから)組合長)が運営する定置網の統括役、大謀(だいぼう)を務める菅野源司(かんの・げんじ)さん(63)は話す。
決意を胸に、仲間と三陸の海に繰り出す。

 同漁協の定置網は同市・広田半島沖の仁位達(にいたつ)、椿島、黒崎の3漁場で漁を行ってきた。
津波で網やワイヤなどの漁具、漁船4隻のうち3隻が被災。
惨状に戸惑いながらも、漁業者は港周辺に散乱する網を回収した。
 昨冬までに仁位達と椿島の2漁場を復旧させ、今年11月には黒崎漁場も再開した。2年ぶりにフル稼働となった今季。
「これまでの分を取り返す」。
乗組員25人の意欲は十分であっても、肝心の漁獲が振るわない。

 岩手の秋サケ漁は、各地のふ化場で稚魚を放流し資源を維持している。
ただ、漁獲量は1996年度の約7万トンをピークに減少。
特に近年は不漁が続く。
今季の漁獲量は震災前4年間の平均の半分以下だ。
漁獲不振は「回帰資源の減少」が要因とみられている。
 晩秋から12月ごろにかけてが秋サケ漁の最盛期。
銀りんの水揚げに各地の浜は活気づき、水産加工所も繁忙期を迎える。
漁の「再建」が水産復興の鍵を握っている。
 「全国からの応援でここまで復旧することができた。
不漁でもあきらめない」と菅野さん。
今日も荒波に立ち向かう。

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