日本最小の在来馬、野間馬の乗馬を楽しむ騎馬隊キッズの子どもたち |
一時は絶滅の危機にひんした日本最小の在来馬、野間馬(のまうま)。
愛媛県今治(いまばり)市の「野間馬保存会」(大沢譲児(おおざわ・じょうじ)会長)が、1978年から保存活動に取り組んでいる。
保存会が運営する「野間馬ハイランド」(今治市野間)では現在、54頭が飼育されており、愛らしい姿を見ようと休日は家族連れでにぎわう。
野間馬は体高120センチ以下で、在来馬8種の中で最も小さい。
江戸時代に松山藩の野間郡(現今治市)で農耕馬として飼われていたが、農業の機械化などで60年前後には市内から姿を消してしまった。
78年に松山市の馬愛好家が「古里の山野で育ててほしい」と、今治市に4頭を寄贈。
野間地区の有志らが保存会を設立し、畜産農家を中心に繁殖に取り組んだ。
大沢勝幸(おおざわ・かつゆき)副会長(69)は「最初の数年間は雄しか生まれず心配した」と振り返る。
83年に待望の雌が生まれ、その後は順調に数を増やした。
85年に日本馬事協会から在来馬の認定を受け、88年には今治市の天然記念物に指定された。
上野動物園(東京)などにも譲渡され、今年5月20日現在、全国で計71頭が生息している。
野間馬ハイランドは、年間約12万人が訪れる今治市内屈指の観光スポットに成長。
小学校などへの出張乗馬も行っており、情操教育に一役買っている。
大沢副会長は「昔は市民でも野間馬を知る人は少なかった。
保存活動に取り組んできたおかげでみんなに愛される存在になった」と話す。
地元の乃万(のま)小学校のクラブや、市内外の児童でつくる騎馬隊キッズが厩舎(きゅうしゃ)の掃除などを手伝う。
地域の貴重な観光資源として、野間馬を大切に育てる気持ちは次世代に受け継がれている。
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野間馬(のまうま)は胴長短足で、サラブレッドと比べると見劣りがする。
だが、小さな子どもでも触れ合える大きさには親しみが持て、穏やかなまなざしに見つめられると、自然と心も和んでしまう。
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