学習机はリビングに
小型・シンプル、部屋に調和 親子の時間取りやすく
リビングに置く学習机を買う家庭が増えている。場所を取らないよう天板の奥行きを詰め、部屋に合うようデザインもシンプルにしたのが特
徴。総合スーパーが値ごろなプライベートブランド(PB=自主企画)商品を販売するなど選択肢も広がっている。一緒に過ごす時間を増やし、勉強を教えたり
会話を楽しんだりするなど我が子との触れ合いを大事にしたい子育て世代が上手に選んでいる。
3日午後。家具専門店のアクタス豊洲店(東京・江東)で、東京都目黒区に住む男性会社員(36)が来春から小学校に通う長女(6)と一緒に
学習机を品定めしていた。「常に目の届く範囲に娘がいるようにしたい」と考えて、約10畳のリビングになじむ小型タイプの購入を検討中という。
アクタスでは8~10月、全国約50店でリビング向け学習机の売り上げが前年同期の2倍になった。8月発売のPB「サークル」(6万8千
円)は奥行きを52センチメートルと一般的な学習机より約2割短縮。デザインもシンプルなので「自分で使っても違和感がないと選ぶ親も目立つ」(アクタ
ス)。
千葉県浦安市で小学1年生と幼稚園児の2人の娘を育てる松田剛さん(35)は1年前にアクタスで買ったPB「ヴァリオ」の学習机をリビング
に置いている。休日には松田さんがリビングで仕事し、娘は学習机で勉強。隣接するキッチンで妻が料理をすることも多い。「家族全員が1つの空間にいるの
で、各自が別々のことをしていてもコミュニケーションをとりやすい」(松田さん)。子供が疑問に思ったり、分からなかったりすることもすぐ教えられる。
イオンは8月、奥行きが50センチメートル以下の「LED照明リビング学習デスク」(3万9800円)などをPBで発売。8~10月にPB
学習机の販売が前年の2倍になった。西武池袋本店(東京・豊島)でもリビング向け学習机「フォルミオ」(8万9250円)の売上高は前年の2割増しだ。
大塚家具ではイトーキの「トレフ」(11万8千円)など、天板に無垢(むく)材を採用した学習机の販売が好調だ。学習机で一般的だったプリント合板に比べて木目が美しく、色も明るい。来店客の3割がリビング用に買っていくという。
三井不動産は子供がリビングで勉強する想定で間取りを設計した分譲マンションの扱いを増やし、販売も好調という。
博報堂生活総合研究所が小学4年生から中学2年生1200人を対象に2~3月に実施した2012年の「子供調査」では家の中で一番いる場所
を居間(リビング)と答えた子供が76.2%。1997年調査に比べ約20ポイント上昇した。半面、自分の部屋の子供は17.3%で15ポイント低下。家
の中で家族と一緒にいることを好む子供も69.3%と、07年比で約7ポイント上昇した。
同研究所の山本泰士主任研究員は「少子化が進み、子供と一緒の時間をより大切にする親が増えていることの表れ。リビングで子供を勉強させる家庭は今後も増えそう」と結果を分析している。
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