2018/01/17

シンガポール- ジョホールバルの通勤鉄道。2024年までに

シンガポール・マレーシア、首脳会談が後押しする経済融合 

2018/1/16 nkを抜粋編集

/  http://washimo-web.jp/Information/Singapore-map.htm

 【シンガポール=中野貴司】マレーシアのナジブ首相は16日、シンガポールでリー・シェンロン首相と会談し、マレーシア南端部とシンガポールを結ぶ通勤鉄道の建設で最終合意した。既に合意済みの高速鉄道に続き、大型の交通インフラの整備計画が固まり、両国間のヒトの往来が一段と盛んになる。毎年のように会談を重ねる両首脳の関係は過去にないほど緊密になっており、経済面での融合を後押ししている。

 16日に合意したのは、シンガポールとマレーシア南端の都市ジョホールバル中心部を結ぶ約4キロメートルの通勤鉄道。2024年末までに開業し、1時間あたり片道1万人を輸送する。リー首相は会談後の記者会見で、「(通勤鉄道の開業で)両国の連関はより強まる」と意義を強調した。

 両首脳は16年12月の前回の会談でも、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ約350キロメートルの高速鉄道建設で最終合意した。高速鉄道がビジネスマンの出張や観光客の移動時間を大幅に短縮する効果があるのに対し、今回の通勤鉄道は、マレーシアから賃金水準の高いシンガポールに毎朝通勤する労働者の有力な移動手段になる。

 今は両国を結ぶ2本の橋を越えて1日約40万人が往来しているものの、通勤や帰宅の時間帯には大渋滞が発生する。ISEASユソフ・イシャク研究所のフランシス・ハッチンソン上級研究員は「シンガポール北部の工場で働く多くのマレーシアの労働者にとって通勤時間が短くなる恩恵は大きい」と指摘する。

 交通手段の多様化で、シンガポール人が物価の安いマレーシアにより頻繁に行くようになる効果も期待できる。マレーシア側の通勤鉄道の駅から徒歩5分の場所に大型病院を建設する計画のトムソン・メディカルのロイ・クオック会長は「鉄道の整備で、シンガポール人やシンガポールに住む外国人が通院する機会が増える」とそろばんをはじく。

 シンガポールに近接するジョホール州の16年の経済成長率は5.7%とマレーシアの13州の中で最も高かった。往来が容易になれば、シンガポールからの来訪が増え、消費がさらに押し上げられるのは確実だ。ジョホール州ではシンガポールの富裕層の購入を見込んだ住宅開発も既に活発だ。

 ナジブ首相とリー首相は今回、シンガポールの金融街の大型複合ビルなどの開業式典にも立ち会った。両国の国営投資ファンドが共同開発した、緊密な関係を象徴する案件だ。資産価値が110億シンガポールドル(約9200億円)に達する大型開発が実現した背景には、両首脳が10年、懸案となっていた両国間の土地に絡む問題を解決したことがある。

 マハティール、リー・クアンユー両元首相時代、両国はライバルとして張り合っており、当時では考えられなかった関係の改善ぶりだ。マハティール氏が現在ナジブ政権を批判する野党側に回っていることを踏まえ、ナジブ氏は16日の会見で、「当時のような状態には戻りたくない」と発言した。

 もっとも国境を越える通勤鉄道や高速鉄道の実現には、迅速な出入国審査と犯罪の防止の両立といった難しい課題が残されている。経済効果を早期に出すには、両首脳の描いた計画を着実に実行に移す実務レベルの協力が不可欠となる。
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