川奥観研 再生事業に名乗り 埼玉新聞、2008年5月29日 



再生事業に名乗り NPOなど7団体提案 ときがわ町


観光集客でバス運行

観光集客で地域の足を確保しながら山林と河川の維持回復をしよう-と、ときがわ町のNPOと川越の観光研究団体らが、同町の推薦を受け、総務省・地方の元気再生事業に手を挙げた。
提案が認められば、バスIC周遊クーポン実験や観光・産業分野の人材育成、エコツーリズム等資源活用実験など幅広い実験に取り掛かれるという。(山本豊美)

名付けて「奥武蔵ときがわ山里元気再生プロジェクト」。
提案者は、同町のほかNPOときがわ山里文化研究所、川越奥武蔵観光情報学研究会、東京国際大学人間社会学部桑原政則研究室ら計七団体。

都市と山里の交流人口を増やし、地域振興と生活利便性を向上させるのが目的だ。
生活交通手段であるバス運行を観光客がバックアップする態勢を模索する。
外国人観光客にも利用しやすい環境整備も研究したいという。

比企地方は、伝統と多くの文化遺産、豊かな自然景観がある。
しかしこの間、人口減少と高齢化が進み、森林の間伐不整備、水の保全などの課題を抱えている。
観光施設も充実してきているものの、多くは川越どまりで比企地方まで足を伸ばす人はまだ少ない。
貴重な足となる町営バスは、川越のイーグルバスに委託しているが生活交通手段のため観光客には使いづらい。

谷島賢イーグルバス社長は「町内の観光資源を結ぶ周遊観光バスとしても活用できないか、大いに研究する価値はある。
実現すれば力を出したい」と実証実験に乗り気だ。

元気再生事業は二カ年。
審査の結果発表は八月。
申請の予算規模は平成20年度約三千四百九十五万円を見込んだ。
認められれば今年度、地域顧客の把握と周遊券などの実証実験を実施。
来年度から本格展開に向けたイベントや観光ボランティアの育成などに取り組みたいとしている。

提案をまとめた桑原政則教授は「比企地方は、東京にこんなに近いにもかかわらず自然豊かで伝統文化が息づき、日本の原風景を維持しているまれな里山です。
多くの人がその価値に気づき、態勢を整えられればアジアをはじめ世界各国からのお客さんも迎えられる地域です」という。

同町の久保均企画財政課長は「皆さんのアイデアや力が町の発展につながればうれしい」。
慈光寺の清掃ボランティアなどで活躍しているときがわ山里文化研究所の柴崎光生理事長は「慈光寺には国宝が眠っている。地域文化・歴史を説明できるボランティアを育成し価値を広くアピールできれば…」と、八月の総務省の判断に期待を寄せている。

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慈光寺の住職