外国人観光客を地方に呼び込む工夫を
2017/7/22付 日経 を抜粋編集
2017年上半期の訪日外国人が前年同期比17.4%増の1375万人となり、過去最高を更新した。2020年に年間4000万人を受け入れるという政府の掲げた目標も、現実味を帯びてきている。
一方で4~6月期の訪日客1人あたり消費額は6.7%減った。京都など有名観光地の混雑や大都市でのホテル不足など、観光客急増による問題も起こっている。世界でも有数の観光大国となるには、一段の工夫が求められる。
今後のカギは地方への誘客だ。日本を再訪する個人客には、欧米からの旅行者を中心に、買い物だけでなく自然や生活文化を体験したいという人も多い。地方は格好の舞台となりうる。外国人が大都市圏以外の地域でも旅をしやすいよう、環境を整えるべきだ。
まずは交通手段の整備だ。地方空港に到着後、街に入る手段はわかりやすいか。観光地から観光地へと無駄なく移動できるか。自治体などの枠を超え、外国人の視点で改めて点検したい。
兵庫県では15年、姫路城のある姫路市と城崎温泉のある豊岡市を結ぶバスが運行を始めた。大阪などの大都市を経由せず、効率よく日本文化を体験できるルートとして人気だという。
バスやタクシーの用意が難しければ、一般人がマイカーで客を運べるライドシェア(相乗り)の導入を考えたい。海外では普及しており、旅慣れた外国人には喜ばれる。公共交通のない地域を訪れる外国人も増えるはずだ。
個人宅などに旅行者を泊める民泊も、日本人とふれあい、生活文化を体験したい外国人を地方に呼ぶ有力な手段となる。民泊仲介大手の米エアビーアンドビーは一般家庭をはじめ古民家や元校舎など、通常のホテルや旅館とは異なる個性的な宿泊施設を外国人向けに紹介し、利用者を伸ばしている。
地元の祭り、伝統工芸品の制作現場など、外国語で情報発信し見学や体験の仕組みを設ければ、外国人を呼べそうな地域資源は多い。企画作りにたけた人を外部から招き、地元の人々が協力すれば名所巡りに飽き足りない観光客を引きつけることは十分可能だ。
民泊法の成立、外国語での有償ガイドの自由化、国家戦略特区でのライドシェア解禁など、観光振興に役立つ規制緩和が進みつつある。自治体などはこうした変化を生かし、訪日客の増加を地域おこしや文化交流につなげたい。
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