徳川家では、家康だけが神で、あとの将軍は仏です。
家康が「神君」とよばれるのは、神(東照大権現)であり、君主(将軍)、神のようにすぐれた君主であるからです。
天海は、家康を「東昭大権現(とうしょうだいごんげん)」という神様にし、260年以上にわたり徳川家の安泰をはかり、日本に平和をもたらしました。
260年の泰平は世界史上希有なことです。
ともあれ、家康の死により幕府は危機を迎えました。
政権は家康のカリスマ性(人間を越えた力)に大きく依存していたからでした。織田政権も豊臣政権も創設者の信長、秀吉の死と共に瓦解(がかい)しました。
天海は、政権の安定をはかるために家康を神とする東照宮信仰を作り上げたのでした。
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