カーシェア、広がる使い道
深夜の帰宅手段、営業車… コスト減へ企業も活用
首都圏でカーシェアリングの利用が急増している。朝夕の送り迎えや買い物、休日レジャーで利用する個人だけでなく、自動車の保有コストを圧縮したい企業も使い始めている。
「天気も良いし、どこか行こうか」。川崎市在住の高校教師、老沼晴彦さん(28)は8月の週末、妻に提案した。行き先が決まると、スマートフォン(高機能携帯電話)で予約した。15分後、自宅から徒歩3分のステーションに向かう。会員カードを読み取り部分にかざすとカギが開き、車に乗り込んだ。老沼さんは「思いついたときに、すぐに車に乗れるのが最大のメリット」と話す。
「無駄ない」魅力
カーシェアのサービスは、いわば「会員制レンタカー」。ただしレンタカーが6時間程度から半日、1日単位の利用が多いのに対し、カーシェアは数十分単位のごく短時間でも利用できるのが特徴だ。レンタカーのように有人の店舗はなく、車は街中の駐車場に置いておき、利用した会員が自分で返却する。
タイムズ24が今夏に実施したカーシェアの利用調査によると、「必要なときだけ使えて無駄がない」(79%)や「24時間いつでも使える」(52%)ことを評価する声が多かった。
「当初は想定していなかった使い方をする利用者もいる」(タイムズ24)。例えば、終電後の深夜に仕事をした後、カーシェアの車で帰宅し、翌朝に車で通勤して返却する人もいるという。
保険・燃料費込み
「都内で自動車を使うことは諦めていた」と話すのは東京都港区に住む会社員の伊藤儀雄さん(30)。転職で富山県から移る際に「月4万5000円の駐車場代金を払うのは無理だ」とマイカーを手放した。
オリックス自動車によるとカーシェアの料金は、例えば毎週1回2時間利用するモデルケースで月額7300円。保険料やガソリン代も利用料金に含まれる。車に搭載している専用カードで給油ができ、ガソリン代を立て替える必要もない。
個人だけでなく、社有車の維持コストを減らす法人の利用も増えている。大手カーシェア各社の会員は法人が3~4割を占めるようになった。営業などで会社から最寄り駅まで電車で行き、そこからカーシェア車に乗る使い方が目立つ。
ある商社は「繁忙期の社有車が不足するときにカーシェアを活用する」と説明する。
住商アビーム自動車総合研究所の橋本勉社長は「サービス向上へ車の台数を増やす一方で、法人や主婦らに平日昼間の利用を促し、曜日ごとの稼働率を平準化できるかが一層の普及のカギとなる」と指摘する。
(おわり)
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