電動アシスト自転車、市場を快走(NK2012/9/21)


自転車、ママ以外も電動型 通勤・通学もアシスト
スポーツ向けや低価格PB

 モーターの駆動力で楽に走行できる電動アシスト自転車を購入する層が広がってきた。従来はシニアや幼児のいる母親が大半だったが、若い男性が通勤に使い、中高生が通学用に選び始めた。メーカーもデザインにこだわったスポーツタイプに力を入れる一方、6万~8万円とメーカー品より割安なプライベートブランド(PB=自主企画)商品も相次ぎ登場。市場の快走が加速している。
スポーツタイプの電動アシスト自転車が並ぶ店内
(東京都目黒区のアシスト)
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スポーツタイプの電動アシスト自転車が並ぶ店内
(東京都目黒区のアシスト)
 「変速機能の充実したスポーツタイプはありませんか」。16日の日曜午後、東京・目黒の電動アシスト自転車専門店「アシスト」では世田谷区在住の音楽家の男性(36)が品定めをしていた。ギターなどを運ぶ際に「坂の多い都内ではアシスト機能がないとつらい。一度乗ったら普通の自転車には戻れない」という。
 同店はアシスト車の専門店として2005年に開業。当初は子育てママが大半だったが、最近は若い男性や、中高生も来店する。系列店で通学用モデルを購入した東京・大田の女子高生(17)は「とにかく楽だから、親に買ってもらう友達も多い」と話す。
 アシスト車といえば価格は10万円以上し、従来はシニアや母親向けのイメージが強かった。1993年に世界で初めて発売したヤマハ発動機は脚力の衰えたシニアの利用を想定して開発。00年代前半から子育て中の主婦に広がり、09年の幼児2人同乗モデル解禁で火が付いた。だが、自転車ブームで遠出や通勤利用が増えるなか、帰路にアシスト機能を求める男性も出てきたという。
 パナソニックサイクルテックやブリヂストンサイクル(埼玉県上尾市)などの国内メーカーや欧米ブランドもデザインにこだわったスポーツタイプに力を入れ始めた。アシスト店内に並ぶ約50種の約半分が男性も抵抗なく乗れるデザインで、スポーツタイプが販売台数の3割。ヤマ発では「9割を30~50代の男性が購入する車種もある」。
 一方、パナソニックがデザインを若い女の子向けにして09年に発売した「ビビDX―スペシャルデザイン」は女子高生を中心に11年度は前年度の3倍売れた。同社は「潜在需要は大きい」と通学用モデルを拡充する。
 大手メーカー品は10万~14万円が相場。「合計でシェア9割以上を握る大手3社に対し参入が少なく、需要が供給を上回っている」(大手幹部)ためだ。だが、今年6月に家電量販のラオックスが5万9800円でPBアシスト車を発売。イオンの自転車専門店などにも供給している。
 8月には自転車専門店大手のあさひも国内メーカーの駆動ユニットをつけたPB商品を7万9800円で売り出した。スポーツ量販店大手のアルペンが09年10月に最初にPBを始めて3年。低価格のPB参入が増え、買いやすくなってきた。
 自転車産業振興協会(東京・港)によるとアシスト車の11年の国内販売台数は前年比12.5%増の43万台。スクーターやオートバイなどの二輪車(約40万台)を上回る。
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