総選挙で地方分権を競え
次の総選挙は日本維新の会が台風の目になりそうである。大阪都構想に対する支持を求めて始まった維新の会と中央政党との関係は、今や維新の会が既存政党の所属議員を取り込むだけでなく、政党の枠組みや政策を揺るがすに至っている。
維新の会は政策綱領というべき維新八策の最終版を公表し、統治機構の作り直しを強く主張している。もちろん当面の中心課題は大阪都実現のための法律改正であろうが、根底には地方分権の思想が強く流れている。
これに対して既存政党はこれまでマニフェストなどに地方分権の実現を掲げてきたが、彼らが立脚しているのは、あくまでも中央集権であることに変わりはない。自らの権限と財源を失いかねない地方分権への取り組みには、中央官庁だけでなく、既存政党のほとんどが消極的であった。
これまで議論されてきた道州制も、あくまで中央政府に都合のいい形で全国をくくり直すことに主眼が置かれ、統治機構の作り直しにつながるものとは言い難かった。
次の総選挙で日本維新の会が躍進し、既存政党が同会との連携を模索するようなことになれば、既存政党側はまずは大阪都の実現に向けた協力を求められることになろう。次のステップでは地方分権への取り組み姿勢を問われる。国と地方の関係について、お題目の分権ではなく、抜本的かつ具体的な取り組みを求められることになろう。
権限や財源の移譲だけでなく、税源のあり方も含めた改革が問われる。その踏み絵になるのが、消費税の地方税化や、地方交付税制度の抜本的な改革ではないだろうか。
これは中央政府と大阪との関係にとどまらない。日本の地方が中央依存を続ける限り地域経済の自立力は高まらず、経済も活性化せず、日本全体も再生しない。少なくとも政令都市レベルの大都市は、自力で世界からヒト、モノ、カネを引き付け、都市間競争を勝ち抜いていくことが求められる。その他の地方都市や農村部においても、地域内のヒト、モノ、カネの循環を維持していくために、これまで以上の自助努力が求められる。
次の総選挙では、地方経済の活性化を通じて日本経済の再生を図るべく、統治機構の見直しにまで踏み込んだ地方分権の実現に向けて、政策論議が活発化することを期待したい。
(追分)