田中一村(いっそん)に見る3分割法

「アダンの木」の3分割法2008年3月。奄美大島にて
田中一村(いっそん)は、アダンをこのんでモチーフにしました。
アダンは、パイナップルのような大きな果実を実らせます。
常緑のままで真冬でも色鮮やかな花を咲かせます。
波打ち際に群生します。
防風、防潮、防砂林として貴重な存在です。

一村は、樹木を通して海の彼方を見るのが好きでした。
奄美の山は濃く、また雲をよぶので、海や空もたそがれた感じになっています。
山高く、緑豊かなところの特徴的な風景です。

名作「アダンの木」は見事な3分割法によっています。
3分割法とは、「井」の字に画面を分割します。
交点に強調したい被写体をすえます。

上の絵では、アダンの実にフォーカスをぴったりあてています。

3分割法は、黄金分割とも よばれる撮影技術です。
すでに一村は独学で無意識にマスターしていたようです。

一村は孤高のカメラマンでもありました。

*3分割法

奄美を描き続けた画家 田中一村
田中一村の好んだ奄美の風景