米国 ネットで講義、有名大学競う
米国の多くの大学が講義の無料提供をネット上で始めた。例えば「コーセラ」というサイトでは、スタンフォード大学、プリンストン大学など有名校の講義が受けられる。教授が画面上に現れ、人文からコンピューター科学まで中味の濃い授業をする。昨年始まったばかりだが、受講者はすでに113万人を突破しそうな勢いだ。ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学、カリフォルニア大学バークレー校も、共同でサイトを運営中だ。
大学側の意図は、すべての人々に学ぶ機会を与えようというもの。同時に未来の大学運営の方法も模索している。もともと、米国の大学には世界から学生を獲得しようという競争意識がある。学生ローンに悩む大学生が多い中、若者の中にはまずはネット講義で勉強してから大学や大学院へ進学しようと考える動きも出てきた。単位取得が可能なコースでは、宿題提出やテストも課せられる。
最近では、盗作騒ぎもあった。ネット辞書などからコピーして小論文を提出した学生が少なからずいたという。問題のあったコーセラでは、今後盗作を感知するソフト導入も検討するらしい。キャンパスがない分、ネット講義では新しい学び方も求められるというわけだ。ただ、ネット上で勉強会をつくったり、オフ会を開いたりなど、熱心な生徒は独自の工夫を凝らしているという。
(滝口 範子)