・最大の売り文句:日本は、犯罪のない安心な国。
・外国語対応は民間で。市町村単位では無理。
・世界一の外国語対応ソフトの開発を。
外国観光客の回復生かそう
日本を訪れる外国人の数が震災前の水準を取り戻しつつある。この勢いを軌道に乗せるために、官民ともに一層の知恵を絞りたい。
昨年春の東日本大震災で激減した訪日外国人の数は、今年6月、震災前である一昨年の6月に比べてプラスに転じた。1月から7月までの累計でも一昨年に比べ3.7%減まで持ち直した。
前年比なら44.2%増という急回復ぶりだ。中国、台湾、タイ、マレーシアといった成長するアジア地域からの伸び率が高い。
震災後まもない時期から、政府は海外の旅行会社などに向け、食品の安全性や交通網などの情報をきめ細かく発信してきた。そのほか、ビザ(査証)発給の条件緩和や現地メディアの番組作りへの協力など、さまざまな働き掛けを地道に重ねた結果といえる。
観光客増の波及効果は幅広い。シチズンホールディングスや東京急行電鉄は今年4~6月期の連結決算が増収となった理由に、訪日外国人によるショッピングや宿泊の回復を挙げている。
日本食やアニメなど身近な生活文化を通じ、日本観光への関心は海外の人々に広がっている。格安航空会社の乗り入れなどで、これまで以上に幅広い層が日本を訪れる。高級品以外の業界も、この機を逃すべきではない。
アマンリゾーツやフォーシーズンズホテルなど、海外の高級ホテルチェーンの日本進出が東京、京都、北海道、沖縄で再び増えつつある。外国人の目に、観光地として日本が魅力的に映っているためだ。東北の雪や温泉、各地の島など売り込める場所はまだ多い。
半面、高額な土産の購入を求められるといった、海外パック旅行で時に耳にする問題も一部で起こっている。日本の旅行会社は「安心・快適」をうたい、海外での集客や国内での外国人向け案内業務に活動の幅を広げたい。
自由度の高い個人旅行で日本を再訪する人のために、案内所や小規模な宿泊施設の外国語対応も急ぐべきだろう。
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シチズンホールディングス、東京急行電鉄、フォーシーズンズホテル