・韓国が竹島に埠頭を建設した1996年に日本は無反応。
・日本のICJ提訴は、不毛。中国は尖閣を提訴するかも。
竹島の奪還は難しい ストックホルム商科大講師 オシェア氏
――日韓の緊張が深刻だ。
「背景には支持が低迷する李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領の実績作りがある。竹島への韓国民の感情は強い。韓国指導者は論争を基盤強化に使い続けるだろう」
「韓国が竹島に埠頭を建設した1996年の動きは今より劇的だったが日本の対応は穏やかだった。今は政府に強硬な態度を示すよう非常に強い圧力がかかっている」
――論争の行方は。
「韓国は多額の資金を使って国際世論を自分寄りに導くことにたけている。日本のICJ提訴は理解できるが、韓国は反応しないし意味はない。日本が竹島を取り戻せる可能性はないと思う。交渉も協議も共同管理も実現しないだろう。大半の外交官や政治家はそれに気づいている」
「日韓は共に米国の緊密な同盟国で、重要なのは北朝鮮や中国の問題だと分かっている。水面下の交渉や対話を通じて長期の損害を防ぐ努力がなされるだろう。だが対立が続け様に起きれば将来に著しい不安定を招く。危険な状況だ」
――日本に何を求める。
「親書を送ったり、外相が不法占拠と公式に発言したりするのを控え、落ちついた外交状況を回復することだ。欧州と違い東アジア諸国はそれぞれ歴史観を持つ。事態収拾には(1)論争を超える国益は何かを探る(2)内政と論争を切り離す(3)誠意ある議論で歴史に関する和解を目指す――が欠かせない」
(聞き手は欧州総局編集委員 菅野幹雄)
ポール・オシェア氏 ストックホルム商科大・欧州日本研究所講師。1990年代から最近の日本と近隣国との領有権争いを専門に研究。英シェフィールド大で博士号を得て、現職に。
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