三重経済特集2
大祭迎える伊勢 式年遷宮、参拝1000万人
来秋ヤマ場、地元に期待
古代から崇敬を集める伊勢神宮、威容を誇る四日市市のコンビナート――。三重県は観光や工業など多様な顔を持つ。特に伊勢神宮は来年秋、20年に1度の大祭「式年遷宮」のヤマ場を迎えるため、多くの観光客が集まる見込み。全国最年少の鈴木英敬知事(38)も三重県のPRに一段と力が入っている。
皇室の祖先とされる天照大御神をまつり、全国に8万以上あるという神社の中で特別な位置を占める伊勢神宮(伊勢市)。20年に1度、新しい社殿を建てて祭神を移す式年遷宮は約1300年の歴史を持ち、今回の遷宮は62回目となる。
2005年の山口祭に始まり、今年は3月に正殿の柱を打ち固める「立柱祭」、棟上げ式に相当する「上棟祭」の2つの主要行事が行われた。来年は夏に地元市民らが新宮の敷地に白石を敷き詰める「御白石持行事」などを経て、10月にご神体を新宮に移す「遷御(せんぎょ)」でヤマ場を迎える。
過去にも式年遷宮の年とその翌年は参拝客が急増した。パワースポットブームもあり、昨年は東日本大震災の影響が出たものの、2010年の参拝者数は約883万人と統計のある明治後期以降で過去最高だった。
伊勢神宮内宮に近い商業エリア「おかげ横丁」は前回の遷宮時に江戸から明治時代の建物を移築・再現して整備された。飲食店など54店が軒を並べ、平日も参拝客でにぎわう。
内宮前の「おはらい町通り」で約100年前から土産物店を構える「二光堂」。飲食店も併設する同店の外村晃一社長は「地元には『新宮3年』という言葉があり、遷宮があると3年は忙しいといわれる。来年は通常の2割増ぐらいの売り上げを期待している」と話す。伊勢商工会議所の上島憲会頭も「2013年の参拝者数は1000万人を下らないのでは」との見通しを示す。
外宮周辺も式年遷宮を機に整備が進む。今年4月、外宮に資料館「式年遷宮記念せんぐう館」がオープン。外宮正殿の一部を実物大で再現するなど、遷宮をビジュアルに体験できる。
近畿日本鉄道は来春に新型特急を投入。私鉄初という3列のシートを採用するなど豪華さを演出する。旅行業界も来年に向け、関連商品など様々な取り組みを展開するとみられる。
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