国際協力銀・三菱UFJ銀、ブラジルの開発支援
国営石油に10億ドル融資、日本勢の商機広げる
国際協力銀行(JBIC)と三菱東京UFJ銀行はブラジル最大の国営石油会社、ペトロブラスの事業投資を長期融資で支援する。まず東洋エ
ンジニアリングが受注した温暖化ガスの削減事業に10億ドル(約780億円)を融資する。ぺ社は5年で約2400億ドルの大規模な事業投資を計画してい
る。長期の資金支援で同社の投資を支えるとともに、日本企業の商機拡大にもつなげる。
12日に調印する。融資額はJBICが6億ドル、三菱UFJは4億ドルとなる。三菱UFJの融資の一部は、JBICが返済を保証する。融資
期間は12年半。2008年のリーマン・ショックやその後の欧州危機を背景に、欧米の銀行は大型事業の開発資金の融資を縮小している。長期資金を出す余裕
のある銀行は限られてきており、相対的に信用力の高い邦銀の存在感は高まりそうだ。
今回の融資の対象は、ペトロブラスがリオデジャネイロ州で計画しているコージェネレーション(熱電併給)と、同州沖にある18の油田から発
生する天然ガスを有効活用する事業。両事業で年間、約270万トンに上る温暖化ガスの削減効果が見込める。削減量は各国が進める環境事業の中で最大規模に
なる。
ブラジル政府は20年までに温暖化ガスを36~39%削減する目標を掲げており、両事業が目玉のひとつになる。熱電併給事業は東洋エンジニアリングが現地企業と組んで設計や調達、建設を請け負う。進出先の企業と連携し、事業を統括する。
ペトロブラスは大規模油田開発や製油所の新設・改修などの計画を控えている。投資資金として年間160億~180億ドルを必要としている。ペトロブラスの投資案件は規模が大きい。各国の企業が事業参加に強い関心を示し、案件の争奪戦は激しさを増している。
JBICは今回の融資にあわせてペトロブラスと長期的に業務協力する覚書を交わし、他の案件でも日本企業の事業参加と一体になった長期融資の獲得をめざす。アジアの新興国でも大型の事業投資が控えている。日本企業による新興国への商機を拡大する。
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