個人輸入、任せて便利 代行サービス続々
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- 2012/10/24 3:30
インターネット経由で海外からブランド品などを買う「個人輸入」の動きが広がっている。豊富な品ぞろえや円高による割安感など利点が多いためだが、粗悪品を売りつけられたり商品が届かなかったりするトラブルも目立つようになった。そうした中で、個人輸入の代行サービスを活用してリスクを回避する人も増えている。
「バーバリーやアルマーニなどのブランド品が日本の半額以下で、品ぞろえも充実している」。都内の会社員、岡本純子さん(45)は個人輸入の魅力を語る。2~3カ月に1度は米高級百貨店サックス・フィフス・アベニューなどの通販サイトで子供服などを買う。
消費者約2千人を対象にした経済産業省の調査では海外の通販サービスを「利用したい」人は2011年度に27.9%で10年度から9ポイント上昇。1ドル=80円前後で定着した円高に加え、通販事業者が日本語で案内表示するなど使い勝手を良くしていることなどが背景だ。
一方でトラブルも増えている。日本通信販売協会(東京・中央)によると、海外通販に関連した11年度の相談件数は10年度の2倍。消費者庁などが昨秋開いた専用の相談窓口にも2千件近くの相談が寄せられている。こうした情勢も受け、個人輸入を代行する専用サービスの人気が出ている。
「国内未入荷のオシャレな商品が安いうえ、安心して買えるのがうれしい」。こう話すのは都内の主婦、千木良朋美さん(32)。エニグモが運営している個人輸入代行サイト「バイマ」を利用し、多い月で2回は海外品を買う。千木良さんのような会員は増え、8月末で100万人を超えた。バイマの取扱高は13年1月期に前期比1.5倍の115億円を見込む。
商社の海外駐在員の家族や国際結婚で移住した人らがバイヤーとして約70カ国・地域で服や宝飾品などを買い付け、会員に売る仕組みだ。エニグモの担当者はバイヤーと密に連絡を取り、模造品の出品など違反行為がないようチェックする。
その結果、エルメスなどのブランド品も含めて約100万品目が常時そろい、バッグなどは国内百貨店より5~7割安い商品もあるという。サイトは日本語対応で、代金は会員が商品を受け取った後に決済される。
楽天も会員が米子会社から簡単に商品を購入できるサービス「アメリカ・ダイレクト」を11年から始めた。日用品や家具など約300万品目の商品は全て日本語で検索でき、問い合わせにも日本語で対応。工具や時計などでは「楽天市場」での販売価格より4~5割安いものもあり、今年の流通額は前年同期の4倍で推移しているという。
経産省によると、11年度に個人が海外通販サイトから直接商品を買った合計額は145億円。経産省はこの金額が20年度に最大で710億円に拡大すると予測する。一方で企業の個人輸入代行サービスも「信頼性が高く、今後も需要はさらに高まる見通し」(経産省)としており、海外から商品を買うときの有力な選択肢になりそうだ。