人材の減少、原発輸出の障害に
- 2012/10/17付
政府が2017年度にも福島県内に原子力技術者を育成する拠点を設けるのは、東京電力福島第1原発の事故を境に、優秀な人材の確保が難しくなったことが背景にある。福島で廃炉や除染のノウハウを蓄積し、それを継承することが原子力産業の競争力につながることから官民によるテコ入れが必要だと判断している。
12年度には大学の原子力関連学科の入学者数が265人と前年度比1割減った。電力会社など原発関連企業の会社説明会参加者も8割減となるなど人材の減少が目立つ。
しかし、産官学の連携組織である「原子力人材育成ネットワーク」の実績は乏しい。人材育成が遅れれば原子炉の保守点検や廃炉が滞り、日本の技術を世界市場に輸出する際の障害にもなりかねない。
人材育成の国際拠点では海外が先行している。韓国電力公社が設立した原子力専門の国際大学院は学生の4割が留学生だ。フランスでは欧州各国から修士相当の学生を集め、国立原子力科学技術院で原子力の専門教育をしている。原発の技術者育成は、今や世界の共通課題といえる。
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