先進国で定着、黙認は限界も
交通政策提言を続ける特定非営利活動法人(NPO法人)自転車活用推進研究会(東京・杉並)の小林成基事務局長の話:
自転車通勤者の増加は先進国共通の傾向だ。環境意識の高まりや健康志向に加え、原油高によるガソリン代上昇に対する生活防衛の側面もある。欧州の中では利用者が少なかった英国も2005年の地下鉄テロを契機に、経済的で安定した交通手段として定着した。
日本人は健康意識が高く、東日本大震災後の交通混乱を経験して自転車通勤へのニーズはさらに大きくなった。多くの企業は就業規則で自転車を通勤手段として想定しておらず、黙認している状況。ただそれには限界がある。企業は事故への対応など、組織防衛上でもルールづくりが迫られている。
自転車を利用する側も意識を変えていく必要がある。数千万台を保有する日本だが、利用のルールはあいまいな部分が多く、行政にも責任がある。自転車の役割を広げるためには、駐輪場や専用道の設置などを含めた環境整備が必要だろう。