味の素、物流拠点を久喜市にも(NK2012/10/13)

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味の素、物流拠点を東西に分散 被災時に備え埼玉に新設

 味の素は加工食品の物流体制を刷新する。川崎市内にある物流センターが担っているハブ(中継拠点)の機能を2014年4月以降、埼玉県久喜市に新設するセンターと既存の兵庫県西宮市のセンターに分散する。地震などでどちらかが被災した際に、もう一方がカバーする。東日本大震災で川崎市のセ ンターが被災し、商品供給が一時停止した教訓を生かす。

 川崎市のセンターは工場から運び込まれた常温の加工食品を保管し、全国に約10カ所ある地域別の物流センターに必要な量を補充している。これまではハブ機能が1カ所に集中しているうえ、高層の自動倉庫のため、震災の際に庫内で商品が落下したり機械が停止したりした。

 14年4月久喜市に設けるセンターは3階建てで延べ床面積約3万3千平方メートル、収容能力は約90万ケース。ゼネコンが建設・所有し、味の素が間借りする。商品を平積みして保管し、入荷時の仕分けや出荷時のピックアップは主に人手で対応する方式を採用する。西宮市のセンターも平積み式。
 新体制に移行した後、川崎市のセンターは東京都など首都圏の取引先に商品を供給する機能に絞る。在庫量を現在の半分に減らすほか、破損しやすい商品を低い場所に置くなど保管場所を見直したり、平置きできるスペースを活用したりする。

 同社は現在、新しい事業継続計画(BCP)を策定中。物流面ではトラックが走れない場合を想定して船や鉄道による代替輸送を検討している。地域別の物流センターが被災した場合に備え、代替となる倉庫の手当ても進める。